子どもに会いたい夫の気持ち

家族構成

イラスト_男性40代

 

 

元夫A氏(40代)
会社員

 

 

イラスト_女性30代

 

(相談者)※離婚済
元妻Bさん(30代)
パート社員

 

イラスト_女の子

※母が監護
4歳(長女)
保育園児

 

今日で、離婚してちょうど1年だ。
俺は、やっと離婚のショックから立ち直りかけている。

 

 

俺は離婚には反対だった。
不倫も暴力も何もしていていない。
ただ、言い争いをしていただけだ。

 

 

確かに、同居生活の最後の半年間は、激しい口論を繰り返していた。
ただ、激しく言い争っても、翌日には仲直りしていた。

 

 

俺は辛かったが、よくある夫婦喧嘩だと思っていた。
だが、元妻は耐えられなかったのだろう。

 

 

離婚は突然やってきたのだった。

 

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ある日、俺が仕事から家に帰ってくると、家は静まり返っていた。
妻は、子どもを連れて実家に帰った後だった。

 

 

俺は、焦った。
本気で焦った。

 

 

置き手紙には、
「実家に帰ります。」
とだけ書いてあった。

 

 

一瞬、時間が止まった様な感覚に陥った。

 

 

気が付いたら、車を走らせていた。
仕事の疲れなど忘れ、妻の実家に向かってアクセルを踏んでいた。

 

 

手は震え、目は充血していた。
それ以上に、汗が止まらなかった。

 

 

妻の実家に着いても、妻は出てこなかった。
妻の両親と話したが、妻は話したくない、とのことだった。

 

 

何度も何度も謝ったが、いい返事は返ってこない。
結局子どもにも会えず、ひとりで帰るしかなかった。

 

 

 

1か月後、俺は、妻が雇った弁護士と喫茶店で向き合っていた。
いわゆる離婚協議というものだ。

 

 

妻は、強く離婚を主張している様だ。
私は必死に離婚に反対した。
だが、妻自身は協議には来ず、妻が雇った弁護士が淡々と離婚を請求し続けた。

 

 

妻側弁護士は、離婚を主張して頑として動かない。
結局、私は離婚に同意せざるを得なかった。

 

 

3回目の離婚協議で、離婚は成立した。

 

 

相手の弁護士が出してきた離婚協議書にサインした。
財産が私に有利になる代わりに、妻は子どもの親権者となった。
財産分与と親権、そして月3万円の養育費が決まった。

 

 

そして、離婚が成立した。

 

男性24_2_悩み51

 

離婚してから約1年
ようやく、立ち直ろうとしている。

 

 

離婚直後は、何度も自殺も考えた。
しかし、思い留まって今を生きている。

 

 

そして、やっと過去として整理できそうだ。

 

 

そんな今、気になることがある。
それは、一人娘のことだ。

 

 

妻が別居時に連れて行ってから、一度も会えていない。

 

 

娘は今4歳だ。
おそらく、保育園か幼稚園に通っているのだろう。

 

 

娘は、元気だろうか。
娘は、大きくなっているだろうか。

 

 

俺に似ているところはあるだろうか。
お父さんのことは覚えているだろうか。

 

 

娘に会いたい。
そして、ぎゅっと抱きしめたい。

 

 

よし、元妻に面会交流を申し込もう。
元妻に、面会交流をしたいと伝えよう。

 

 

さて、元妻は面会交流に応じてくれるだろうか!?

 

 

 

最悪だ。
結果は、悪い方に出た。

 

 

元妻は、「面会交流は絶対しない」と言ってきた。
条件とか関係無く会わせるつもりはないようだ。

 

 

元妻の反応は、ある程度は予想していた。
あれほど一方的に離婚を要求してきたのだから、面会交流も拒否するかもしれないだろうと思っていた。

 

 

だが、会えないとなるとショックは隠せない。
悲しさと絶望に襲われる。

 

 

大切な我が子なのに、会えないなんて。
もう一生会えないかもしれない。

 

 

会いたい。
娘に会いたい。
我が子に会って、抱きしめたい。

 

 

こうなったら、弁護士に相談に行こう。
何か、解決の糸口が見つかるかもしれない。

男性24_2_悩み60

この事例の要点

離婚後、我が子に会えない父親は非常に多いです。

 

 

なぜなら、子どもを引き取った女性は、もはや元夫は憎き敵でしかありません。離婚した相手ということで、元夫は人生最大の宿敵として認定されています。

 

 

そんな宿敵に、人生で最も大切な我が子を会わせたくない気持ちになるのは当然です。命を懸けて生んだのだから、その考えは分からなくはないです。

 

 

そんな子供の気持ちに逆らってまで、父に会わさない方が良いのでしょうか?

 

 

また、父親側は一緒に暮らしていないとは言え、血を分けた子どもです。とても大切な存在です。離婚は仕方ないと考えても、せめて定期的に会いたいと考えるのは当然です。

 

 

こうなると、子どもに会わせたくない母親vs子供に会いたい父親の対立の始まりです。

 

 

この時、子どもに立場からすると、母親と同様に父親も親です。3歳くらいになると、パパが家にいない事を疑問に思いはじめます。さらに時間が過ぎると、父親の存在をあえて意識しない様にし始めます。

 

 

そんな子どもの気持ちを押し殺さざるを得ません。そうした日々が続くと、子どもは健全な気持ちで成長できるでしょうか?

 

 

ここで、この事例に似た過去の判例を紹介します。

女性モデル08_笑顔20

判例の紹介

判例@

京都家庭裁判所

平成22年4月27日

家裁月報63巻3号87項

非親権者の父から、子どもとの面会交流を申し立てた。母は面会交流を否定し、調停委員から提案された試行的面会交流も拒否した。

 

裁判所は、
・「子と非親権者の父との面会交流は、子が父親から愛されていることを知る機会であり、この健全な成長にとって重要な意義がある(中略)」
・「子は両親の愛情を平等に受ける権利を有しており、・・・、親権者であってもそのような子の権利を害することは到底許されるものではない
と、面会交流を認めた。

 

その後、高等裁判所でも争われたが、抗告審も原審の京都家裁の判断を支持した。

 

判例A

東京高等裁判所

平成25年7月3日決定

判例タイムズ1393号233頁

夫と妻は、11年の結婚生活の後、妻が娘を連れて別居を開始した。その後、妻は離婚を求める調停を申し立てたが、夫を娘に会わせたくないと主張した。対して、夫は娘との面会交流を求める調停を申し立てた。

 

家庭裁判所で調停は不成立なったが、その後の審判で、面会交流を認め、頻度、方法、時間等を指定した。

 

妻は、これを不服として東京高等裁判所に判断を委ねた。

 

東京高裁は、「子は、同居していない親との面会交流が円滑に実施されていることにより、どちらの親からも愛されているという安心感を得ることができる」として面会交流を認めたものの、その方法などを再考すべきとして家庭裁判所に差し戻した。

 

結論

基本的に、裁判所は面会交流に積極的です。

 

 

その背景は、非監護親が子供に会う権利というより、子どもが非監護親に会うことにメリットがあると考えているからです。

 

 

子どもが、普段一緒に暮らしていない親(父)に会うことは、母親からだけでなく父親からも愛されていると感じることができます。そういう気持ちを持つことで、この健全な成長、人格形成のためになると考えているのです。

 

 

子どもは、大人が考えている以上に敏感な生き物です。普段の生活で一方の親(例えば父)がいない場合、学校などで父親という言葉を聞くことだけで耳をふさぎたくなるでしょう。また、テレビなどで一家団欒の場面が映るだけで、心が乱されるでしょう。

 

 

その気持ちが膨れ上がると、「私は父からも母からも愛されて生まれてきたのか?」「俺は、生まれてきていい存在だったのか?」と考え出してもおかしくありません。

 

 

面会交流は、自分に疑問を感じる子どもの心を癒す効果があります。一緒に生活していない親と定期的に会うことで、子どもは自信を持って「お父さんからも愛されている」と心で思うことができるのです。

 

 

ただ、どんな場合でも面会交友が認められるとは限りません。暴力や連れ去りの可能性がある場合は面会交流が認められない場合があります。しかし、この事例の元妻(母)の様に、感情的な理由だけから相手に会わせたくないという主張は、まず認められません。

 

まとめ

調停や裁判では、面会交流を行うことを積極的に勧めてくる!
面会交流は、子どもの健全な成長に重要な意義があると考えられている!