第1話
妻が突然家出した…。

俺の名は、しゅうご
30代後半の都内在住で、上場企業の正社員
有名私大卒で、資格も複数保有。

 

 

これだけ聞くと、人生充実してる様に見えるかもしれない。
だが、それはとんでもない誤解だ!

 

 

俺は、妻と離婚した。
結婚生活は、7年で終わってしまったのだ。

 

 

俺は離婚などしたくなかった。
だが、離婚を受け入れざるを得なかった。
なぜなら、婚姻費用の支払いが辛すぎた。

 

 

別居後、東京の郊外の家賃4万円代のアパートに引っ越した。
築30年以上の木造アパートの一室だ。
上場企業会社員が住む様な部屋ではない。

 

 

それに、家賃、光熱費、食費など、ギリギリまで削って生活していた。
また、車も売却して、少しでも支出の少ない生活を送っていた。

 

 

都内40代の上場企業正社員で、これほどギリギリの生活は珍しいと思う。
だが、これだけ切りつけた生活でも貯金はまったくできない。

 

 

さらに、妻が子どもを連れていたので全く会えなかった。
子どもに会えないのは、胸が張り裂けそうだった。

 

 

友人や同僚は、みな幸せな家庭を築いている。
マンションや車を買って、充実した人生を歩んでいる。

 

 

一方で、俺は3年以上、ドン底の人生を歩んでいた。

 

 

なぜ俺がこんな人生を送ったのか。
俺と同じ失敗をしない様に、何が起こったのかここに記そうと思う。

 

悲しい_男性20

 

30代半ばの頃。

 

 

俺は毎週末合コンに明け暮れていた。
OL、看護師、女子大生など様々な業種の女性と合コンしていた。

 

 

だが、遊びだったわけじゃない。
30代になって周りが結婚し始めて焦っていたのだ。
このまま一生独身だったらどうしようと悩んでいた。
そして、20代半ばの後輩に交じって、必死に合コンに行っていたのだ。

 

 

だが、真面目さが取り柄の俺は全くモテない
メールアドレスを聞いても、まず返信は無い。
何度合コンに行っても結果が出なかった。

 

 

ある日、とあるアパレル関係会社のOLと合コンした時だった。
俺の目の前に、好みの女性が座った。
特別カワイイという訳ではないが、俺のタイプだった。

 

 

名前はBさんと言い、俺の10歳下だった。
俺は必死に盛り上げて、なんとか連絡先を交換した。

 

 

合コン後も、Bさんとはやり取りが続いた。
俺は、ますますBさんに惹かれていった。
だが、実はBさんには腐れ縁の彼氏Cがいるようだった。

 

 

彼氏Cは地元のヤンキー上がりで、仕事はしていない。
付き合い出したのは高校時代からで、それ以降は別れたり復縁したりを繰り返していた。

 

 

だが、Bさんは彼氏Cとは完全に別れようと考えている様だった。

 

 

Bさんは、早く結婚して専業主婦になりたいらしい。
家事と育児で夫を支え、幸せな家庭を築きたいと考えていた。

 

 

それなのに、彼氏Cはもうすぐ30歳なのに無職で収入ゼロ。
都内の社会人3年目のBさんにとって、地元の無職の彼氏Cとの未来は無いも同然だった。

 

 

俺は、なんとかBさんとの食事デートを取り付けた。
そして、必死にBさんを口説いた。

 

 

俺は、会社も稼ぎも学も悪くない。
ちゃんと仕事していて、会社も安定している。
妻になる人は、専業主婦になるのも大歓迎。

 

 

何度も何度も、諦めずにBさんにアプローチした。

 

 

Bさんにアプローチを初めて3か月経った頃だ。
Bさんは、ついに彼氏Cと別れて俺と付き合うことを選んだのだった。

 

 

俺の人生で、一番喜んだ瞬間だった。

 


 

2年後、俺はBさんと結婚式を挙げた。
30代の非イケメンの俺が、10歳も年下のを貰ったのだ。

 

 

結婚のきっかけは、出来ちゃった婚だ。
だが、結婚妊娠という大イベントを、親族・友人はみな祝ってくれた。

 

 

妻は、結婚を期に会社を辞め、専業主婦となった。
俺が仕事で疲れて帰って来くると、妻が笑顔で出迎えてくれる。
ダイニングには、ご飯が用意されている。

 

 

その年の暮れに長男が生まれた。
子どもができたので、渋谷区の広めの賃貸マンションに引っ越した。
毎日、子どもの成長を見るのが楽しかった。

 

 

土日は、子どもと一緒に近所の公園に散歩に行く。
平凡な家庭だが、毎日とても充実していた。

 

 

数年まで合コンに明け暮れていた毎日に比べたら、考えられないくらい充実した毎日だ。

 

 

俺は、この幸せは永遠に続くと信じて疑わなかった。

 

 

しかし、奢れる者は久しからず

 

 

気付かぬうちに、下り坂は始まっていた。

 

悲しい_男性110

 

ある日、会社から帰宅すると妻は不機嫌そうな顔をしていた。

 

 

2人の子どもの世話が大変でストレスMAXだそうだ。
できれば俺が早く帰ってきて手伝って欲しい、と言った。

 

 

だが、それは俺にとっては難しい要求だった。

 

 

当時俺は、会社で重要な仕事を任されていた。
チームで取り組んでいるので、先に俺だけ帰るわけにはいかない。

 

 

だが、妻のSOSに答えないわけにはいかない。
そこで、俺は逆に提案してみた。

 

 

ストレスが溜まっているなら、週末の夜は俺が子どもを預かる。
その間、妻はOL時代の友人とお酒でも飲んできて良い、と提案した。

 

 

妻は、とても喜んでいた。

 

 

その週末、妻は入念なメイクとネイルをして、独身時代の服を着て遊びに行った。
妻は入籍してから家事と育児ばかりだったが、久々に着飾った妻は独身時代を思い出させるカワイさを取り戻していた。

 

 

その日、妻は夜10時頃帰ってきた。
OL時代の友人らと飲んできたらしい。
帰ってきた妻は、久しぶりに笑顔でいっぱいだった。

 

 

妻は、その翌週末も出かけて行った。
一度遊びに行くことを許したので、妻は毎週週末に遊びに行って良いと思っていたようだ。

 

 

俺は複雑な気分だった。
さすがに毎週週末に出かけるのはやめて欲しい。
だが、日々の妻の苦労を思うと、妻が笑顔で出かけていくのを止めるとこはできなかった。

 

 

こうして毎週土曜夜、妻は夕食の支度を済ませると外出するようになった。
遊びに行くことを楽しみにしている妻を見ると、止めることなどできなかった。

 

 

だが、段々と妻の帰宅時間が遅くなっていった。
最初は夜10時頃には帰宅していたが、夜12時を超えるのが当たり前だった。
そしてついには、朝5時頃の帰宅が当然になってしまった。

 

 

ある日、普段よりも帰りが遅い日があった。
なんと、妻は朝8時過ぎに帰ってきたのだ。

 

 

俺は、妻を叱った。
1歳の子どもがいるのに、明るくなるまで帰って来ないなんて。

 

 


「いい加減にしてくれよ。
もう夜飲みに行くのは控えて欲しい。
それができないなら、出て行ってくれ!

 

 

つい感情的な発言をしてしまった。
朝帰りが続いているのが耐えられなくて、強く言ってしまった。

 

 

すると、妻は、俺を睨みつけながら言い返してきた。

 

 

言い争いは30分ほど続いた。
そのあと妻は、何も言わず、目も合わせず、風呂に入っていった。

 

 

俺は、一晩寝ると妻は反省してくれるだろう、と思っていた。

 

夫婦喧嘩2

 

その週末金曜の夜。

 

 

玄関を開けると、家の中は静まりかえっていた。

 

 

いつもなら、玄関の扉を空けると妻と子どもの声が聞こえてくる。
だが、人の気配が全く感じない。

 

 

不思議に思ってリビングに行くと、部屋を見て呆然とするしかなかった…。

 

 

家の中から、ほとんどの荷物がなくなっていた。
妻と子どもの衣服はもちろん、台所用品や洗面用品なども全て。
ただ、俺の衣服が残されているだけだった。

 

 

まさに、もぬけの空

 

 

机の上には、妻からの手紙が置いてある。

 

 


『今の生活には耐えられません。
子どもを連れて、実家に帰ります

 

 

俺は焦った。

 

 

いったいどうなった!?
何が起こっているんだ!?

 

 

全く理解できない!?

 

 

確かに、先週末は妻と口論になった。
しかし、家を出ていくほどではないだろう。

 

 

俺は、妻の携帯に電話をかけた。
しかし、何度コールが鳴っても出ない。
何度も何度も電話したが、コール音が鳴るのみ。

 

 

妻には電話やメールやラインLINEをした。
だが、電話には出ないしメールやラインLINEは返事が無い。

 

 

1時間。
2時間。

 

 

いくら待っても返事は来ない!
ラインLINEは既読にならない!

 

 

いったいどうなってるんだ!?

 

 

心臓がドキドキしている。
完全に動揺してしまっている。

 

 

その夜、
いつ妻から連絡が来ても良いように、
スマホを握りしめて眠りについた…。

 

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