性格の不一致の相談事例

家族構成

イラスト_男性40代

 

 

夫A氏(40代)
会社員

 

イラスト_女性40代

 

(相談者)
妻Bさん(40代)
パート社員

 

イラスト_男の子

 

13歳(長男)
中学生

 

イラスト_男の子

 

10歳(次男)
小学生

 

夫は中堅の製造業の会社に努めていた。
新卒で就職して、もうかれこれ20年近く勤務していた。

 

 

夫の仕事内容は、生産管理だった。
製品の生産計画や原材料の調達などを管理していた。

 

 

アイデアを生かすような業務ではなく、だいたい同じような業務を繰り返す日々だった。
昨今の業界の流れでは、そのうち機械(AI)に取って替わられると言われていた。

 

 

夫の所属していた部署は、出世街道から外れた人が集められていた。
夫は真面目な性格ではあるが、頑固なので上司から評価されなかったのだ。
そのため、給料は同期の間でも高い方ではなかった。

 

 

だが、文句を言わずに真面目に働く夫は素敵だった。
家族を支えている夫は、輝いて見えた。

 

 

そう。
会社がリストラを始めるまでは…。

 

女性モデル13_悩み60

 

夫の会社の売上の半分以上は、ある大手企業の工場への納品で成り立っていた。
その大手企業の工場の売上が、夫の会社の業績にも直結していた。

 

 

2015年の夏頃、家電業界全体が不況に陥った。
シャープやパナソニックといった大企業でさえ経営危機が囁かれた。

 

 

不況の原因は様々だ。

 

 

最終製品が世間に一巡したこと。
中国や台湾の企業が安い価格で販売を始めたこと。
大手企業が消費者のニーズに見誤った大型投資をしたこと。

 

 

複数の要因が重なってしまった。

 

 

夫の会社は高い技術を持っていた。
だが、取引先である大手企業が海外の企業に競争力で負けていった。
そのため、大手企業と共に夫の会社の売上も大きく落ち込んだ。

 

 

会社の危機に夫の会社はリストラを行うことになった。
その中で、窓際族の夫はリストラの筆頭候補になってしまった。
最初は抵抗したものの、会社は準備万端で退職勧告をしてきているので反論は通りそうになかった。

 

 

夫は仕方なく、退職金を受け取って会社を去った。

 

 

リストラ後、当初はハローワークに通うなどして再就職活動に専念していた。
会社を選ばず50社以上もの会社に履歴書を送った。
いくつかの会社には面接に行った。

 

 

だが、世間の中高年に対する風当たりは思ったより厳しかった。

 

 

夫A氏が応募するのは、どれも中小企業や零細企業で高望みはしていなかった。
だが、夫の様にだれでもできるような生産管理の仕事をしていた人は即戦力にならない。

 

 

結局、ほとんどの企業が採用を見送った。

 

 

夫は半年間ほどハローワークに通った。
だが、再就職先がなかなか決まらなかったので、ついに夫A氏は家でゴロゴロするようになった。
リストラされただけでなく、再就職も決まらずに投げやりになっていた。

 

 

夫が退職した直後は、私は何も言わなかった。
今まで頑張って私たちを支えていてくれたのだから。
次の仕事が見つかるまで、私のパートの仕事で支えようと思っていた。

 

 

だが、再就職がうまくいかずに家でゴロゴロするようになって、夫を見る目が変わってきた。

 

女性モデル13_悩み53

 

この頃、私は毎日が不安で仕方なかったからだ。

 

 

私が昨年から始めたパートの給料は、たかが知れている。
家族4人の生活費を考えると、焼け石に水だ。

 

 

夫のリストラで退職金が入ったとは言え、今は貯金を切り崩して生活している。
それに、住宅ローンはあと15年程度残っている。
このまま無職なら2年以内に無一文になってしまう。

 

 

さたに、今後は2人の子どもが高校や大学に行くことになるとお金がかかる。
さらに、どちらか病気になってお金が必要になるような事態も起こるかもしれない。
そう考えたら、貯金が減っていく生活は耐えられなかった。

 

 

だが、夫は今日も家でゴロゴロしている。
朝から晩までずっとテレビを観てばかりだ。

 

 

妻の私から見て、夫A氏は真面目で家族想いだ。
だが、私として夫が無職であることは気が気でなかった。

 

 

さらに、女性は男性よりも世間体を気にする。
夫A氏は、自分がリストラされて無職になってしまったから家にいても仕方ないと思っていた。
だが、私は昼間からずっと家の中や近所をブラブラしている夫の姿が近所で噂になってしまうことがイヤだった。

 

 

その様なお互いの考えの違いのため、家では口論が絶えなくなった。
私は夫の行動すべてが目に触るようになり、事あるごとに小言を言うようになった。
その度に、夫は私に言い返す。
そうやって、毎日何度も言い争うようになった。

 

 

子どもたちは、両方とも10歳を超えているので、夫婦の口論は理解していた。
だが、それを聞いた子供たちは黙っているしかなかった。

 

 

その間も、私は次第に不安と不満が溜まっていった。

 

 

このまま貯金を取り崩す生活では、いつかは生活に行き詰まる。
そうなると、高校や大学に通わせることができない。
それ以前に塾に行かせることができなければ、良い高校や良い大学なんて合格できるはずがない。

 

 

生活への不安が限界を迎え、私の気持ちは諦めへと変わっていった。
そして、その不満はもう引き返せないくらい膨らんでいた。

 

女性モデル13_悩み55

 

事件が起きたのは、ある日の夕食後だった。
夫は、私がビールを買ってきていないという理由で私を強く叱責した。

 

 


「おい、なんでビールが無いんだ?今すぐ買ってこい」

 

 

夫にとっては、夕食後にビールを飲みながらテレビで野球を楽しみであった。
だが、不満が溜まっていた私はその言葉で何かが吹っ切れた。
そして、一人静かに決断するのであった。

 

 

もう、離婚しか無い。
私は、この時結婚生活を過去のものにした。

 

 

今の財産の半分をいただいて、きっぱり別れよう。
私がしっかり働いて、子どもたちを大きく育てて行こう。

 

 

だが、私には不安がある。

 

 

夫は浮気や不倫をしたわけではない。
また、暴力などをしたわけでもない。

 

 

明らかな離婚原因が無いため、夫が離婚を拒否したら離婚は認められないのではないか。
夫と離婚したいが、離婚できないかもしれない。

 

 

私の離婚への決意は固い。
だが、この夫とは離婚はできるのだろうか?

 

女性モデル13_悩み52

この事例の争点

サラリーマンは、誰しもがリストラに直面する可能性を秘めています。リストラという形で強制的に行われる場合や、早期退職などのように雇用者が能動的にリストラ計画に応じる場合もあります。

 

 

ただ、40歳以上で会社を辞めると、その後の再就職は非常に難しいです。大企業はもちろん、中小企業や零細企業でさえもなかなか雇ってもらえないのが現実です。簡単に見つかるだろうと思っていた人も、何通履歴書を送って何社面接に行っても再就職先が決まらないとなると、就職活動を止めてしまう人が出てきます。

 

 

この事例では、当初は再就職活動をしていましたが、うまくいかないことから夫は毎日家でゴロゴロ過ごすようになりました。妻が、就職活動をしない夫を見て生活に不安を覚えるのは仕方ない事です。まだ家のローンが15年程度も残っていることや、2人の子どもたちを大学に行かせたいという気持ち考えると、妻Bさんの不安は当然のことでしょう。

 

 

では、この様な状況で妻Bさんは夫と離婚可能でしょうか?

 

 

協議離婚であればお互いが合意さえできれば離婚可能ですが、もし夫が協議や調停で離婚を拒否した場合、最終的には裁判で勝たなければなりません。

 

 

この事例では、夫は家で仕事もせずにゴロゴロしているだけですが、不倫や暴力などは無いため決定的な離婚原因はなさそうに見えます。働かないという理由で、夫と離婚できるのでしょうか。

 

 

では、この事例に似た過去の判例を紹介します。

 

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判例の紹介

判例@

東京高等裁判所

昭和54年3月27日判決

判例タイムズ384号155頁

夫はマージャンなどで生計を立てることもあったが、薬剤師である妻へ依存した生活を送っていた。
夫は、労働できない理由はなかったが、妻の再三の要請を無視して怠惰な生活を続けていた。

 

そんな夫に対して妻は不信感が募り、離婚を請求した。

 

夫は妻との離婚に反対していたが、裁判所は『夫が働かずに怠惰な生活を送ることは、婚姻関係を継続し難い重大な事由に当たる』として離婚を認めた。

 

判例A

東京高等裁判所

昭和59年5月30日判決

判例タイムズ532号249頁

夫は、いくつかの会社を転々としたり、会社を設立したものの業績低迷で安易に借金を重ねて妻や妻の父に頼ろうとした。特に、妻の父が保証人となっていたために保有する土地を売却せざるを得なくなった際に、夫が売却にあたって妻の父の納税を免れたことを恩着せがましくしたこともあった。

 

夫はそのような著しくけじめを欠く生活態度に終始し、潰瘍性大腸炎のために心身ともに打撃を受けていた妻に対する思いやりも欠いていた。

 

東京高裁は、
『夫婦関係破綻の責任は夫にあるとして、婚姻の継続し難い重大な事由に該当する』
として、妻からの離婚請求を認めた。

 

結論

過去の判例では、怠惰な性格、勤労意欲の欠如、生活能力欠如などを理由として離婚が認められた例があります。どれも、『婚姻を継続し難い重大な事由』として離婚が認められているのです。

 

 

夫婦には、協力して生活する義務があります。夫が働かずに家でゴロゴロしているのは、夫婦として生活に協力しているとは到底言えず、その怠惰なことは離婚事由になるのです。

 

 

この事例の夫婦は、夫は外で働いて、妻は家事・育児が主な役割でした。だが、たとえリストラされたとは言え、ずっと家でゴロゴロしていていいという訳ではありません。しかも、貯金を取り崩す生活をしており、妻の不安は計り知れないでしょう。

 

まとめ

働かずに怠惰な夫とは離婚できる!