妻が毎回面会交流をキャンセルしてくる…

家族構成

イラスト_男性40代

 

(相談者)
夫A氏(40代)
会社員

 

 

イラスト_女性40代

 

※離婚済み
妻Bさん(40代)
派遣社員

 

イラスト_男の子

※母と同居
8歳(長男)
小学生

 

イラスト_男の子

※母と同居
6歳(次男)
小学生

 

 

はぁ。
今回もダメか…。

 

 

元妻からのメールを見て、ため息が出た。

 

 

最近毎回これだ。
俺が、毎月どれほど楽しみにしているのか。

 

 

なんとかならないものか…。

 

 

 

俺は、バツイチ男だ。
妻とは性格の不一致が原因で、4年前に離婚した。

 

 

子どもは2人いる。
元気でカワイイ男の子だ。

 

 

今はもう小学生なので、元気いっぱいだろう。
俺に似てワンパクに育っているだろう。

 

 

子どもたちは、元妻が育てている。
離婚時、親権は妻のものとなったからだ。
もちろん、面会交流は設定した。

 

 

だが、俺はもう3年も子どもに会っていない。
いや、正確には会わせてもらえてないのだ。

 

 

明日は、第2土曜日。
本来ならば、子どもたちとの面会交流の日だ。

 

 

俺は、場所と時間の確認のために元妻にメールした。
だが、帰ってきた返事は”いつも通り”だった。

 

 

元妻
「子ども達が会いたがらないので、今回の面会交流は無しで」

 

 

毎回これだ。
何かと理由をつけて、子どもたちに会わせてもらえない。

 

 

元妻のメールの内容はほぼ決まっている。

 

 

「長男が風邪を引いた」
「次男が熱を出した」
「もうすぐ習い事の発表がある」
「スポーツ大会に出る」
「宿題が終わっていない」

 

 

だいたい、これらの文言の使いまわしだ。

 

 

俺は頑固でも意地悪では無いので、理由があるなら仕方ないと思う。
だが、毎回こうやって断られては、もはや信じられない。
そして、何よりも許せないのは、代替日の提案も無い事だ。

 

 

翌週などに振り替えてくれたら、俺も都合を合わせようと思う。
しかし、それも何かと理由を付けて断ってくる。
そして何度かメールを送ると、無視して返信をしてこないのだ。

 

 

俺は、決められた面会交流をしたいだけだ。
なにも、無理を言っているわけではない。
それに、養育費もきちんと支払っている。
一度たりとも、遅れたりしたことは無い。

 

 

面会交流が中断される様なことはしていない。
暴力やDVなどは無縁だ。
勝手に会いに行ったり、連れまわしたりもしていない。
ただ、純粋に面会交流をしている自信はある。

 

 

それでも会えないなんて。
なんでこんな目に合わなければならないんだ。
子どもたちに会えなくて、心が狂いそうだ。

 

 

もう3年も会ってないので、赤の他人だと思ってるんじゃないか。
いや、そもそも俺のことなんて完全に忘れてるんじゃないか。

 

 

俺もきちんとした理由なら理解する。
しかし、3年も約束をないがしろにされたら、もう限界だ。

 

 

俺の心は、もう何度もショックを受けた。
再婚もせず、子どもたちだけが楽しみだったのに。
この精神的被害はどうしようもなく大きい。

 

 

少なくともこのままでは一生会えないだろう。
元妻には、反省を促す意味でも損害賠償を請求できないか?

 

 

もちろん、本気でお金が欲しいわけではない。
子どもに会いたいだけだ。
このままでは子どもたちに会わせてもらえそうにない。
したがって、少し強硬な手段に出ざるを得ないのだ。

 

 

子どもたちに会えるならこんなことはしない。
会わせてもらえるのなら、損害賠償を取り下げる準備はある。

 

 

だが、そもそも面会交流が実施されないだけで、損害賠償が認められるのだろうか?
それによる慰謝料請求が認められるのか?
こんな例、ほとんどないだろう。

 

 

こうなったら、専門家に相談してみよう。

この事例の争点

日本では、離婚時には父か母のどちらかが親権者・監護者となり子どもを監護します。
実際には、ほとんどの場合は母親が親権者・監護者となります。

 

 

ただし、非監護親となった父親は面会交流において子どもに会うことができます。
何より、裁判所は面会交流を強く推奨しています。子どもは、両方の親から愛されていると感じることで、心の健全な成長が期待できると考えられているのです。

 

 

しかし、離婚した父と母の間には葛藤が残されている場合が多いです。
そのため、いざ面会交流となると親権者(主に母親)が面会交流を実施しない、という行動に出ることも珍しくありません。

 

 

この事例においても、母親は父親(元夫)への強い拒絶反応から、自らの判断で面会交流を中断させてしまいました。その結果、父親は、子どもに会えないまま3年もの時間が過ぎてしまったのです。

 

 

この場合、父親である父親A氏は、母親(元妻Bさん)に損害賠償を求めることができるでしょうか?

 

 

では、この事例に似た過去の判例を紹介します。

 

判例の紹介

判例@

横浜地方裁判所

平成21年7月8日

家裁月報63巻3号95項

(控訴審)東京高等裁判所

昭和22年3月3日

家裁月報63巻3号116項

離婚後、母親が親権者となった。
母親は、父親との面会交流を一方的に中止し、父親からのプレゼントを送り返すなどした。

 

父親は、母親による面会交流の中断によって精神的損害による慰謝料請求を申し立てた。

 

裁判所は、
・母が面会交流を行わないことが原因で、子どもが父親に会うことへの消極的な心理が形成された
・その事が原因でによって、面会交流が困難な状態となる結果を生じさせた
として、監護親である母親に70万円の支払いを命じた。

 

母親は東京高裁に控訴したが、棄却された。

 

判例A

静岡地方裁判所

平成11年12月21日

判例時報1713号92項

離婚時、親権者は母親とし、面会交流は月2回・各2時間程度として場所・方法は協議で決める、と合意していた。
しかし、母親が面会交流を拒否し、家庭裁判所による面会交流の実施の命令にも従わなかったので、父親は慰謝料を請求した。

 

静岡地裁は、
・母親が面会交流を中断したのは、父親の愛情に基づく自然の行為を妨害した不法行為
と認定し、母親に対して500万円の慰謝料の支払いを命じた。

 

結論

面会交流は、離婚した後に非監護親が子どもに会う唯一の機会です。

 

 

裁判所などは『面会交流は子どもの権利』という位置付けて実施を推奨しています。
そして、父親は我が子に会える唯一の機会として楽しみにしている人が多いです。

 

 

しかし、離婚した男女がスムーズに面会交流を行うことは簡単ではありません。
特に、監護親が母親の場合は、自らが父親(元夫)に会うことはもちろん、子供を父親に会わせることにも拒絶反応を示す人が多いです。この事例においても、監護親である母親が面会交流を拒絶しました。

 

 

一方、面会交流は父親が子どもに会う権利でもあるので、理由もなくその権利が侵害された場合、非監護親のショックは計り知れないでしょう。この事例でも、非監護親の父親Aさんは大きなショックを受けていました。

 

 

ただ、面会交流の一方的な中断は権利の侵害であるので、それによる慰謝料は認められています。実際、この事例に似た過去の判例では、裁判所は慰謝料の支払いを命じています。

 

まとめ

理由もなく面会交流が何度も中断された場合、慰謝料の請求は認められる!