不倫慰謝料の相談事例
夫A氏(40代)
会社員
(相談者)
妻Bさん(30代)
専業主婦
8歳(長男)
小学生
ある日、私は夫のスーツを片づけようとした。
昨晩遅くに帰ってきた夫は、スーツをリビングに脱ぎっぱなしだった。
私は夫のスーツのズボンを拾い上げて畳もうとした。
すると、ポケットからレシートが一枚落ちてきた。
私は何気なくそのレシートを見た。
その瞬間、固まってしまった。
西新宿の高級イタリアン 日付:20XX年X月X日 PM9:00
御利用ありがとうございました。 店舗番号 03-XXXX-XXXX
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えっ!?
どういうこと?
昨晩夫は、仕事後に会社の飲み会だと言っていた。
場所は、会社のある東京駅の近辺だと言っていた。
それなのに、なぜ西新宿にいるのか。
八重洲にいたはずではないのか。
会社の飲み会のはずが、2人で高級イタリアン!?
夫の言っていたことと全く違う。
もしかして・・・不倫!?
私は女の直感で感じ取った。
考えてみると、思い当たる節はあった。
最近、夫は会社に行く前に髪型を気にしている。
私服は適当だが、会社のスーツやシャツは新調した。
なんとなく余裕がある話し方をするようになった。
そして、最近はなんとなく私にに優しい。
それに何より、最近夫は帰りが遅い。
半年ほど前から急に帰りが遅くなった。
それまでは夜7時には家に帰って来て一緒にご飯を食べていた。
しかし、最近は外食して帰ってくる日が増えたのだ。
また、週末は終電か夜中にタクシーで帰ってくるようになった。
夫は既に窓際族だ。
出世コースからは外れた身だ。
そんな遅くまで仕事で忙しいはずがない。
私は、なんとなく疑問に思ってはいた。
だが疑っていたわけでもなく夫を信じていた。
だが、証拠が出てきた。
しかも、明確に嘘をついてもいる。
これで不倫を疑わない方が無理だ。
誰と不倫しているかは、だいたい目星はついている。
夫の大学時代の元カノCだ。
半年前くらいから、インスタに「いいね」を何度も付けている。
夫のインスタと同じ風景の写真が何度か投稿されている。
不倫相手はほぼ確定。
女の勘を舐めるんじゃないわよ。
だが、不倫相手が分かると、ますますモヤモヤした気持ちが大きくなってきた。
その日以降、夫の帰りが遅い日は気が気でなくなった。
なぜまだ帰ってこないのか。
不倫相手と会っているのか。
食事だけ?
まさかホテルにも行っているのか?
家にいると、全く落ち着かない。
夫が家に帰って来ても、素直におかえりと言えない。
どうせ不倫相手と遊んで来たのだろう。
今夜はどこのお店に行ってきたのか。
いつしか、私は笑うのが苦手になっていった。
楽しかった家事が、全く楽しくない。
食事作りも、掃除洗濯も楽しくない。
生きていても、毎日が楽しくない。
最近笑ってないな。
何より、息子に笑顔で話しかけられないのが辛い。
ふと、離婚という言葉が頭に浮かんだ。
今までどれほど喧嘩しても、離婚など考えたことすらなかったのだが。
もし離婚したらどうなるのだろう。
まず、生活が大変になるだろう。
専業主婦なので、仕事を始めなければならない。
ずっと専業主婦だったので、約10年ぶりの就職活動だ。
だが、子どもが10歳になってからあまり手はかからなくなった。
これなら、家事と子どもの世話を両立できそうだ。
だが、離婚するにしても不倫をしている夫を許せない。
どうせ離婚するなら、たっぷりお金をいただこう。
財産分与はもちろん、慰謝料も取れるだけ取ろう!
夫に不倫を問い詰めた時に不倫を素直に認めたら簡単だ。
だが、夫が不倫を認めない可能性もある。
夫が不倫を認めないなら、裁判で認めてもらうしかない。
ただ、証拠が不十分な気がする。
夫が高級イタリアンへ行ったレシートは保管している。
だが、これは食事をした証拠にはなると思うが、不倫も認定されるだろうか。
ただ友人と食事をしただけと言ったら、不倫にはならないだろう。
私は、本気で離婚を考えている。
もはや離婚しか無い。
そして、離婚するならなんとしても慰謝料をもらわなければ。
だが、離婚請求と慰謝料請求が認められるだろうか?
はぐらかされて終わるなんて納得できない。
離婚するなら、できるだけお金をもらわなければ!
この事例の要点
この事例では、妻が夫の不倫を疑っているものの、慰謝料請求に踏み切れていません。
その理由は、夫の不倫の証拠が不十分だと感じているためです。
妻Bさんは、夫A氏の不倫相手は元カノCさんとほぼ特定しています。
インスタの写真と夫の行動などを類推するに、夫A氏の不倫はほぼ確定でしょう。
しかし、2人が不倫関係にあるというのは推測でしかなく、証拠は何もありあせん。
また、離婚請求や慰謝料請求した際に夫A氏が不倫を認めるとは限りません。夫が不倫を認めない場合は、裁判所に不貞行為を認めてもらわなければ離婚成立や慰謝料請求が認められません。
では、離婚成立と慰謝料請求についてそれぞれ考えてみましょう。
不倫が原因で離婚が認められるための2つの条件とは!?
裁判になった場合、不倫で離婚が認められるには次の2つの条件を満たさなくてはなりません。
- 不倫相手と複数回肉体関係を持った(セックスした)
- 不倫が原因となって夫婦関係が破綻した
1、配偶者が不倫相手と複数回肉体関係を持った(セックスした)
一つ目の条件として、配偶者が不倫相手と複数回肉体関係を持った(性交した)証拠が必要です。なお、配偶者以外とスキンシップやキスなどをすることは倫理的には批判されるべきことですが、離婚事由としての不貞行為とは認められません。不貞行為として認められるには、肉体関係(性交)に限定されます。
肉体関係(性交)の証拠は、肉体関係を確認できるメールや手紙などのやり取り、ラブホテルの領収書、ラブホテルに出入りする写真などが該当します。
ラブホテルに出入りした写真は、不貞関係の強い証拠となります。ラブホテルとは、肉体関係を持つ(性交する)場所だと考えられるので、出入りした写真は肉体関係を持ったと理解されるのです。
この時、二人の顔がはっきりと写った写真が必要です。夜で暗い場合もあるので、特殊なカメラなどで撮る必要があります。また、できれば動画で撮影しておけば証拠がより固いものとなります。
一方、ビジネスホテルや自宅に2〜3時間滞在しただけでは証拠としては認められない傾向があります。「部屋の中で相談に乗っていた」「打ち合わせをしていた」などの理由が成り立つと考えられるからです。
男女でメールなどのやり取りが盛り上がると、どうしても肉体関係の事が話題になるときもあります。具体的な写真や動画があれば証拠に成り得ますが、ただのメールやラインのやり取りだけでは開き直って認めない場合も有ります。
また、相手がわざわざそれらのメールを見せてくることなどほぼありません。あなたが配偶者の形態をこっそり見ることは犯罪になります。その場合、相手に『勝手に見た』として訴えられたり、裁判官に証拠として扱われなかったりします。
ラブホテルへ出入りする写真を、素人が準備することは大変難しいです。何時間にも渡って二人を尾行し、ラブホテルに出入りするタイミングで顔が分かるように写真撮影するのです。素人にはほぼ不可能な行動です。
したがって、決定的な証拠となるラブホテルに出入りする写真は、探偵・興信所に依頼する場合が多いです。
探偵や興信所に依頼するとお金がかかります。しかし、確実に離婚できて慰謝料も得るための証拠を得るためなら、検討すべき方法の一つです。
- ラブホテルに出入りする写真
- 肉体関係を持ったことが分かるメールや手紙やラインLINE
- 仲良くやり取りしているメールやラインLINE
- キスなどスキンシップしている写真
- ビジネスホテルや自宅に出入りする写真
2、不倫が原因で夫婦関係が破綻したことの証明
二つ目の条件として、不倫が原因となって夫婦関係が破綻したことを示すことが必要です。具体的には、配偶者が不倫したことを知って相手が信頼できなくなったので別居を始めた、という因果関係のことです。
そのため、すでに別居などで夫婦関係が破綻した後に肉体関係を持った場合は離婚原因としては認められません。この場合、世間的には不倫となりますが、元々別居していたことから不倫が夫婦関係の破綻の原因とはなったとは言えなからです。
同じように、離婚協議中や離婚調停中に不倫をしても、それが離婚事由や慰謝料の対象になることはありません。ただし、裁判官や調停委員の心証は悪くなります。そして、相手に疑われないためにも、離婚協議中などは他の異性と二人きりで会わないようにすべきです。
- 不倫が発覚して言い争いが増えた
- 不倫が発覚して別居した
- 夫が不倫相手と同棲して、家に帰って来なくなった
- 別居状態のときに不倫を始めた
- 離婚に合意済みの時に不倫を始めた
- 離婚調停中に不倫を始めた
不倫が認められれば配偶者への慰謝料請求が可能
不倫が原因で離婚成立が認められた場合、あなたは配偶者へ慰謝料請求が可能です。慰謝料の相場は、過去の判例からは一般的な家庭だと100〜300万円が限度です。
また、配偶者の不倫相手に慰謝料を請求したい場合もあるでしょう。その場合は、あなたの夫(妻)が不倫相手との肉体関係を自白するか、あなたが不倫相手に責任があることを証明する必要があります。
ただ、あなたの夫(妻)が素直に不倫相手との肉体関係を自白するとは限りません。その場合、不倫相手から確実に慰謝料を請求するための条件を紹介します。
配偶者の不倫相手から慰謝料を得るために必要な3つの条件!
配偶者の不倫が発覚した場合、配偶者が不貞行為を認めるか、裁判で不貞行為が認められれば配偶者に慰謝料を請求できます。
しかし、配偶者の不倫相手に慰謝料を請求できるのは、次の3つの条件を満たす必要があります。
- 複数回肉体関係を持った(セックスした)
- 不倫が原因で夫婦関係が破綻した
- 不倫相手が夫(妻)を既婚だと知っていた
ここで、1番と2番は配偶者への離婚請求と慰謝料請求と同じです。ただし、不倫相手へ慰謝料を請求するには、3番も満たさなければならないのです。
3、不倫相手が夫(妻)を既婚だと知っていた
配偶者の不倫相手に慰謝料を請求できる3つ目の条件は、不倫相手があなたの配偶者のことを既婚者だと知っていたということです。
例えば、夫の不倫相手が夫の事を未婚だと思っていたら、不倫相手に請求しても慰謝料は認められません。例えば、夫が嘘をついて不倫相手に未婚だと伝えていた場合などです。
その場合、不倫相手は純粋に恋愛をしていただけで、あなたに精神的苦痛を与える故意も過失も無いからです。
ただし、既婚者だと気付ける状況・環境であれば認められるでしょう。
同じ会社の場合だと、既婚か未婚かどうかは知っていて当然と考えられます。
また、交際関係でありながら毎回終電で解散になっていて宿泊が無かったり、休日は会えなかったり連絡を取れなかったりなど、『夫は実は既婚者かもしれない』と気付ける余地があった場合は、慰謝料の請求が可能です。
つまり、不倫相手が夫の事を完全に未婚者だと信じていて、かつ、既婚者だと疑う余地が無ければ、不倫相手はあなたから夫を奪おうという故意も過失も無いため、慰謝料を請求しても認められないのです。
この様に、不倫相手に慰謝料請求するためには、1番から3番の全てを満たさなければなりません。
まとめ
不倫した夫の自白があれば離婚成立も慰謝料請求も可能。
ただし、配偶者が協議や調停で不倫を認めない場合、裁判で証明して不倫が認められる必要があります。
- 不倫相手と複数回肉体関係を持った(セックスした)
- 不倫が原因となって夫婦関係が破綻した
- 複数回肉体関係を持った(セックスした)
- 不倫が原因で夫婦関係が破綻した
- 不倫相手が夫(妻)を既婚だと知っていた
離婚請求や慰謝料請求するなら、決定的な証拠が必要です。
不倫の決定的な証拠が欲しい場合や、配偶者の不倫相手を特定したい場合は、探偵・更新所を検討しましょう。
不倫の慰謝料は、100〜300万円ほどが相場です。
決定的な証拠を準備できれば、離婚が成立するどころか、慰謝料もきちんと得られます。
証拠を準備することで、あなたの望む結果が期待できるのです。
離婚請求や慰謝料請求を認めてもらうには、決定的な証拠が必要!
証拠を得るのためには、探偵や興信所への依頼が不可欠です。