第29回 離婚相談
妻が家庭貯金を浪費した場合の財産分与はどうなる!?

 

離婚カウンセラーの
ミライです。


 

離婚に関しては自分がお金を管理している方が圧倒的に有利です。

 

なぜなら、別居時の生活費のやりくりや離婚時の財産分与の検討などは、通帳を持っている側がコントロールできてしまうのです。

 

今回の相談者は、妻が家計を管理していて貯金がほとんど残っておらず途方に暮れている旦那さまです。

 

あなたの悩みはどれですか?

弁護士に離婚の悩みを聞いて欲しい人
離婚時にお金をできるだけ多く欲しい人
 

家を売るか悩んでいる人
家を早く高く売りたい人
 

離婚後、再婚できるか悩んでいる人
 

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≪相談の背景≫
家計の貯金を妻に任せてしまっていたら…

背景を飛ばして相談内容を見る>>

家族構成

イラスト_男性40代

 

(相談者)
夫A氏(40代)
会社員

 

 

イラスト_女性40代

 

※別居中
妻Bさん(40代)
専業主婦、パート社員、派遣社員

 

イラスト_男の子

※妻と同居
10歳(長男)
小学生

 

えっ!?
ホントにこれだけ?

 

 

俺は、妻から提示された通帳残高のコピーを見てビックリした。
10年間の結婚生活で、100万円しか増えていない。

 

 

おかしい。
そんなわけないだろ!?

 

男性24_悩み5

 

俺は、東京都内の40代のサラリーマン。
会社では猛烈に働いている。
仕事も忙しく、いつも夜遅くまで働いている社畜だ。

 

 

そんな私はある悩みを抱えている。
今、10年間を共にした妻と離婚協議中なのだ。

 

 

原因は、喧嘩が絶えない。
いわゆる、性格の不一致だ。
不倫や暴力は一切ない。

 

 

子どもが生まれてから、俺たちは喧嘩ばかりだった。
当初は話し合いで解決していた。

 

 

だが、何度も喧嘩しているうちに、話し合おうとしなくなった。

 

 

子どもが3歳になるころには、夫婦の溝は決定的になった。
どちらともなく、別れることについて話始めた。

 

 

離婚することはすぐに決まった。
俺もそうだが、妻も離婚を考えていたのだろう。

 

 

お互い離婚に賛成なので、すんなり離婚できると思っていた。
だが今、俺と妻は離婚条件でめちゃくちゃ揉めている。

 

 

揉めている原因は、お金だ。

 

 

離婚する時は、それまで結婚生活で貯めた貯金を分けなければならない。財産分与だ。

 

 

財産分与では、婚姻中に貯めたお金は均等に分ける。
男女で年収の違いがあっても、均等に分けることになるのだ。

 

 

分け方に、議論の余地は無く2分の1だと決まっている。
問題は、婚姻期間中にいくら貯金が貯まっていたかだ。

 

 

俺の夫婦は、妻が家庭の貯金を管理していた。
離婚協議で財産分与の話をした時、結婚中にいくら貯金が貯まったかを妻に聞いてみた。

 

 

はたして、いくらくらい溜まっていたのか。

 

 

離婚協議中とはいえ、どのくらい貯金が貯まったのか楽しみだ。
派手な旅行などはしておらず、それなりの貯金は期待できる。

 

 

だが、妻が答えた数字は驚くべきものだった。

 

 


「貯金なんてほとんど貯まってないよ。
たった100万円しか増えてないよ」

 

 

え!?
どういうことだ!?

 

俺は、その言葉を聞いて俺は我を失った。
10年間の結婚生活で100万円しか溜まってないということだ。

 

 

いったい、どういうことだ…。

 

 

俺の年収は、700万円ほどだ。
同世代でも、悪くはない方だと思う。

 

 

普段の生活で、お金に困ることは無かった。
だが、浪費など全くしていたつもりはない。

 

 

そもそも、俺はおこずかい制だった。
我が家の家庭の財布は、妻が握っていた。

 

 

結婚直後の不倫未遂がバレてから、俺のお金は自由に使えなくなった。
俺は、不倫未遂の後ろめたさもあり、文句は言えなかった。

 

 

年収700万円稼いでいるのに、おこずかいは毎月5万円。
完全にATM男だった。

 

 

妻は育児休暇の2年間を除いて、年収300万円ほど稼いでいた。
仕事にやりがいを感じていたようで、子どもを保育園に預けて働いていた。

 

 

婚姻期間中、我が家は夫婦2人で世帯年収1,000万円だった。
2人合計ではあるが、世間が夢見る年収1,000万円を達成していたのだ。

 

 

婚姻期間中は、家計をずっと妻に任せていた。
妻は時々、どのような節約をしているかを話していた。
俺は、妻がお金をしっかり管理してくれていると思っていた。

 

 

それが、婚姻生活10年間で、100万円しか貯金が増えてないだと!?
ゼロが一個足りないのでは。
だが、何度通帳を見ても増えた貯金は100万円…。

 

 

そんなものなのか?
知らない間に、浪費していたのだろうか?

 

 

だが、少し考えれば分かる。
10年間で100万円しか貯まってないのはおかしすぎる。

 

 

単純な計算をしてみた。

 

 

2人で、年収は1,000円。
ということは、手取りで800万円ほど。

 


手取りは、年間800万円。
支出は、年間530万円くらい?
差額は、年間270万円くらい?

 

 

1年間で200万円以上貯まるはず。
10年間では、2,000万円強だ。

 

 

やはり、100万円しか残ってないのはおかしい。

 

 

どこかで使ってしまったのか?
何か、大きな買い物をしたか?

 

 

俺は、おこずかい制だからお金を使えない。
だから、俺が浪費することはあり得ない。

 

 

妻は、ブランドの服やバックはほとんど持っていない。
何百万円も使って海外旅行に行ったりも無い。
指輪などの宝石にも興味が無い。

 

 

そうなると、考えられるのは一つだ。
離婚を考えだした時に、お金をどこかに隠したのだろう。

 

 

2,000万円を二人で分けるなら、私の取り分は1,000万円となる。
しかし、100万円を2人で分けるなら、私の取り分は50万円しかない。

 

 

財産分与で100万円だけ分けて、他の金額は丸々自分の物としようとしているのだ。

 

 

俺は、全ての通帳残高のコピーを見せて欲しいと言った。
だが、何度も言って出してきたのがこの100万円の口座だけ。

 

 

いやいや…。
そんなはずはない!

 

男性24_悩み10

 

俺は、何度も何度も妻を問い詰めた。
だが、妻の反応は「これしか無い」の一点張り!

 

 

だが、俺は確信している。
妻はウソをついている。

 

 

「口座はこれだけよ」と言った妻の口元が、ほんの少し笑っていたのだ。

 

 

妻は、どこかにお金を隠している…。
だが、どこにあるのか全く分からない。

 

 

家中探したが、妻の出してきた銀行通帳以外は見あたらない。

 

 

どこか俺の知らない銀行に口座を作ったのかもしれない。
貸金庫や倉庫や実家に、現金で保管しているのかもしれない。
それとも、ビットコインなどの仮想通貨にしているのかもしれない。

 

 

あの口元の笑いは、全てを物語っている。

 

 

完全にヤラれた。
妻に貯金を隠された。

 

 

妻に家庭の貯金を任せきりにしたのが失敗だった。
無理やり俺が管理するか、少なくとも口座の在り処などを知っておくべきだった。

 

 

これ以上、妻を問い詰めても正直話さないだろう。
かといって、妻が隠した貯金の隠し場所など探しようもない。

 

 

正直、どうしようもない状況だ。

 

 

焦る俺に、妻は追い打ちをかけてきた。

 

 


「婚姻費用を払ってくださいね!
別居中でも夫婦は協力する義務があるんだからね。」

 

 

ちくしょう!
どこまで俺からむしり取る気なのだ!

 

男性24_悩み6

 

この10年間、俺は必死に仕事を頑張ってきた。
取引先や上司に何度も叱責された。

 

 

それでも、妻と子どもの顔を思い浮かべて耐えてきた。
家族のために身を粉にして働いてきた。

 

 

いつか家を買おうとも思っていた。
ゆとりある老後の生活をイメージしていた。

 

 

家族全員の幸せのため。
家族がいるから、これまでを頑張れた。

 

 

しかし、その仕打ちがこれか!?
「たった100万円しかありません」、で済むものか。

 

 

このままでは、財産分与で半分の50万円渡されて別れることになる。
40代で離婚して、貯金がたった50万円だなんて。
そんなの、まず耐えられない。

 

 

40代後半で、貯金たったの50万円。
しかも、養育費も払わなければならない。

 

 

なんとかならないものか。
人生台無しだ。

 

 

妻にお金を任せっきりにするんじゃなかったー!

男性24_悩み1

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≪離婚相談の内容≫
浪費したお金は有るものとして財産分与の計算をする

背景の要約

A氏Bさん夫婦は、合わせて年収1,000万円。
離婚の話し合いの際、夫A氏が家庭貯金を確認すると100万円しかありませんでした。
1,000万円以上は貯金できていたはずなのに、貯金額の少なさに夫A氏は途方に暮れてしまいました。

<<戻って相談の背景を見る

 

 

Aさんの家庭では、奥さまが家計貯金を管理していたのですか?


 

 

 

 

 

はい、我が家は妻が家計貯金を管理していました。
妻が家計簿を付けていましたし、銀行通帳や銀行印も妻が管理していました。

 

財産分与で通帳残高を見せてきましたが、預金残高が100万円しか無くてびっくりしました。
他に、どこの銀行に口座があるかや貯金がいくらあるかは全く分かりません。


 

 

世帯年収1,000万円で10年も共に生活していたのに、貯金が100万円ですか。

 

Aさんのおこずかいは、奥さまから手で渡されていたのですか?


 

 

 

 

 

私の給料や賞与はいったん私の銀行口座に入り、私のおこずかいの5万円を差し引いて、残りのお金を妻に手で渡していました。

 

給与明細も一緒に渡していたので、ごまかす余地はありませんでした。
私個人の口座にあるお金は、ほぼゼロでした。


 

 

別居してから、金銭的に困ることはないですか?


 

 

 

 

 

別居直後は大変でした。

 

私個人の銀行口座には貯金が無いので、突発的な出費で口座残高はほぼ無くなりました。
ただ、給料日を過ぎてお金が入ってくると、多少余裕が出てきました。

 

しかし、今後妻が婚姻費用を請求して来たら、また毎月の収支はキツくなりそうです。


 

 

財産分与の話し合いをされているみたいですが、奥さまが提示してきた家庭貯金が100万円だったそうですね。


 

 

(相談者)夫A氏

 

 

 

 

私の計算だと、10年の婚姻生活では単純計算2,000万円ほど貯金が貯まっていると思っていました。
それが、通帳残高の貯金額100万円と見たときは、驚きで口が塞がらなかったです。

 

妻は、2,000万円ほどどこかに隠していると思います。
100万円だけ2人で分けて、残りを丸々自分のものにしようとしているのでしょう。


 

図(作成中)

 

 

 

 

 

単純に考えても、世帯年収1,000万円で100万円しか貯金が無いってあまりにもおかしいですよ。
なんとか、妻の隠している貯金を暴く方法はないでしょうか?


 

 

奥さまが隠している銀行名・支店名さえ分かれば弁護士に依頼して口座残高を問い合わせることはできるでしょう(弁護士会照会)。もちろん、問い合わせを受けた銀行が回答してくれるとは限りません。

 

ただ、Aさんは奥さまが管理している銀行名すら分からないので、問い合わせようがないですね。


 

 

もう諦めるしかないってことですか?


 

 

結論から言うと、多少は取り返せる可能性はあります。
毎月の収支などの具体的な金額を提示して、『これだけ貯金があるはずだ』として財産分与を計算することも目指すのです。

 

似た状況での過去の判例を紹介します。


判例の紹介

判例@

仙台地方裁判所

平成13年6月20日

夫婦は共に医師として勤務していて、家庭の貯金は妻が管理していた。

 

離婚に際して、財産分与で揉めることとなった。

 

仙台地裁は、『婚姻期間中に不動産の購入があった事などを考慮しても、5年4ヶ月の間に5346万円の生活費を支出したことになるが、生活費としては過大すぎる』、とした。

 

その結果、原告の妻には872万円のほかに1,000万円程度の貯金が残っている、と推定した上で財産分与を計算した。

判例A

東京地方裁判所

平成15年9月19日

共働きの夫婦の離婚で、家庭の貯金は妻が管理していた。

 

東京地裁は、『緊急性のない支出が、13年間で1,300万円あった』として妻が1,300万円を浪費したと認めた。
そのため、夫名義の貯金9,095万円から1,300万円を夫の持ち分と認めて(妻の浪費分相当額)、残る7,795万円を2人で分けることを命じた。

 
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今後について

 

Aさんの事例では、世帯年収1,000万円あるのに家庭貯金が100万円というのはさすがに低すぎます。

 

明らかに金額がおかしいので、貯金額を推計して求めた判例@Aと同じ様に、推測して貯金額を出すように主張するべきでしょう。


 

 

 

 

 

なるほど。
推測を元に、多少は取り返せるかもしれないということですね。
希望が見えてきました。


 

 

とはいえ、財産分与も含めた離婚条件は、準備した側が圧倒的に有利なのです。
特に財産分与は、”隠したモノ勝ち”です。

 

お金を管理していた側は、相手の知らない口座を見せなかったり、お金をどこかに隠したりして有利に進めようとします。
信義則としてはきちんと知らせるべきですが、当人の性格や周囲のアドバイスなどでごまかそうとする場合が多々あります。


 

 

 

 

 

一つ気になったの事があるのですが…。

 

さすがに妻側弁護士は『ウソは止めましょう』と指摘するのじゃないですか!?

 

だって、弁護士は正義の味方ですよ!


 

 

Aさん!
離婚を甘く見過ぎです!
そんなバカ正直な弁護士はいません!

 

むしろ、弁護士が積極的に隠すようにアドバイスするでしょう。


 

 

 

 

 

えっ!?
弁護士は正義の味方ではないのですか?

 

ウソとか隠すとかはせずに、正々堂々と戦うのが仕事じゃないのですか!?


 

 

弁護士は、正義の味方ではありません。
ただの、顧客の味方です!

 

法律違反以外では、どんなことでも平気でしてきますよ!


 

 

えぇ!?
そうなんですか!


 

 

離婚協議や調停で、相手弁護士と対峙した人は口を揃えて言う言葉があります。


 

正義か。
そんなもんはこの世の中にありはしない。

(『ブラックジャック』by手塚治虫)

 

 

 

 

 

そうなんですか!
ミライさんに相談してよかったです!

 

今の私の状況が整理できました。
不利な状況ではあると思いますが、なんとか頑張ってみます。


 

 

頑張ってください!
応援しています!


 

まとめ

財産分与時に実際より低い貯金額を提示されたら、貯金は有るものとして計算する可能性がある!

 

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