養育費の金額を決まってないが振りこみ続けていた

  • 夫A氏(相談者)

    40代前半の会社員。

  • 妻Bさん

    30歳後半でパート社員。

  • 子どもは2人

    8歳と10歳の男の子。

 

うーん。
今月から支払いを止めようか。

 

 

俺は、養育費の振込のために銀行の窓口に行ったのだ。
だが、悩んだ挙句、振り込み手続きをしないで銀行を後にした。

 

 

なぜ、俺が養育費の支払いを止めたのか。
誰にも話せない俺の心の声を、ぜひ聞いてほしい。

 

 

 

元妻とは、3年前に離婚した。
離婚原因は、性格の不一致。

 

 

不倫や暴力ではなく、純粋に価値観の違いだった。
激しい口論などを繰り返していたので、別れる決断をした。

 

 

離婚は、すぐに決まった。
財産分与は、ほとんどなかったので揉めなかった。
だが、養育費はなかなか決まらなかった。

 

 

俺達には、2人の子どもがいる。
今頃、小学3年生と5年生だ。

 

 

子どもがいるため、養育費は決めなければならない
養育費は、算定表から決めようとした。

 

 

俺の年収は、650万円。
妻の年収は、150万円。
子どもは、幼い子が2人。

 

 

算定表を基にすると、養育費は毎月8〜10万円となる。

 

 

しかし、私の年収は今後下がっていく見込みだった。
ちょうど、子会社に出向を命じられた直後だったのだ。

 

 

年齢的には、かなり早い肩たたきだ。
あぁ悲しき会社員人生。

 

 

養育費を決める時、金額のことでかなりもめた。
俺は今後年収が下がるのだから、今の年収をずっと適用し続けるのはおかしい、と言った。
だが、妻はあくまで前年度の年収で計算することに拘った。

 

 

話し合いだったので、お互いが合意するまで決まらない。
結局、養育費の議論は曖昧なまま協議は終わってしまった。
もちろん、離婚条件を書いた契約書なども作っていない。

 

 

その後、離婚届を提出し、無事に離婚は成立した。

 

 

財産分与は、その日のうちに清算した。
養育費は、『そのうちまた話し合いましょう』となったままだった。

 

 

離婚後、俺は子どもを作ったことに責任を感じていた。
例え離れ離れになっても、俺の血を分けた存在だ。
親として、養育費を支払わなければと思った。

 

 

きちんとした取り決めが無いまま、相場の上限である10万円を振り込み始めた。

 

 

 

離婚から、2年ほど経った頃だった。

 

 

そろそろ離婚後の一人暮らしにも慣れてきた。
子会社での窓際生活にも慣れてきた。

 

 

だが、最近は養育費の支払いを億劫に感じる。

 

 

取り決めてなかったとはいえ、面会交流をしていない。
子どもの状況は、元妻のインスタとフェイスブックで知るのみ。
子どもは大切だが、2年も直接会ってないと愛情が…。

 

 

養育費を支払うの、止めようかな。
だが、疑問に思いながらも毎月10万円の養育費は振り込み続けた。

 

 

 

そして今、離婚から3年が経った。

 

 

もう限界だ。
養育費としてお金を振り込んでいるが、何も音沙汰なしとは。

 

 

別にお金に困っているわけではない。
子会社に来て年収が少し下がったとはいえ、生活には困ってない。

 

 

また、新しい家族ができたからとかでもない。
非イケメンの俺は、再婚の予定は今のとこ無さそうだ。

 

 

では、なぜ養育費の支払いを止めようと思ったのか。
それは、元妻の態度のせいだ。

 

 

何度も子どもの動画を要求したのに、全部無視された。
養育費をきちんと支払っているのに、それはないだろう。

 

 

それに、3年も養育費を受け取っていながら「ありがとう」の一言も無いなんて。
面会交流をしていないから愛情の維持も難しい。

 

 

むしろ、よく今まで我慢して支払ってきたものだ。
離婚契約書も取り交わしておらず、金額も決まってない。

 

 

それなのに、相場の上限の10万円をずっと支払ってきた。
それだけでも十分感謝に値するのではないか。

 

 

しかし、問題がある。
養育費の支払いを急に止めても問題ないだろうか?

 

 

おそらく、妻は養育費請求をしてくるだろう。
そうなれば、イヤでも養育費の金額を決めることになる。

 

 

だが、今の年収を基にして算定表で養育費を求めれば今までの毎月10万円よりも安くなる。だいたい、6〜8万円といったところだ。

 

金額は、改めて協議を行って決めることなる?
それとも、今まで通りの金額を支払うことになるのか?

 

 

俺は法律については全く詳しくない。
一度、弁護士に相談してみよう。

この事例の争点

子どもを持つ夫婦が離婚した場合、養育費の支払いは長期にわたって続きます。数年〜10数年にわたって、毎月支払っていくので、金額も大きくなります。

 

 

養育費は、子どもの生活に直結するものであり、義務者(主に男性)には強い拘束力が課されます。もし養育費の支払いを止めた場合などには、勤務先からの給与が差し押さえられることもあります。

 

 

ただし、この事例では元々養育費の金額が合意されていませんでした。しかし、父親は養育費として3年間、毎月約10万円を支払い続けてきました。

 

 

元妻として、養育費の金額などを離婚時に取り決めようとしましたが、決まらないうちに離婚を成立させてしまいました。

 

 

離婚後、夫は算定表の範囲内の上限である10万円を支払ってきました。しかし、子どもの動画を見せようとしない妻の態度がきっかけで支払いを止めようとしています。

 

 

毎月10万円が支払われている間、妻子がこの10万円を頼りに日々の生活を送ってきていました。元妻も仕事をしていましたが、10万円があるのと無いのでは生活水準が全く違ったものになります。

 

そのため、当然もらえると思っていた10万円ものお金の支払いを急に止められると、生活が窮するのは当然でしょう。

 

 

もし元妻が継続支払いを要求して裁判を起こせば、養育費は認められるでしょう。ただし、その金額は、今まで通りの10万円なのか?それとも現時点の年収を基にするでしょうか?

 

 

では、この事例に似た過去の判例を紹介します。

 

判例の紹介

判例@

東京高等裁判所

昭和62年3月30日

未公表

離婚後、妻が子ども2人の親権者となった。
養育費の金額は合意しなかったが、離婚後2年半の間、夫は毎月約20万円を元妻に支払い続けていた。

 

東京高裁は、「夫は、養育費として毎月1人あたり10万円を支払う旨の黙示の意思表示をして、妻も暗黙のうちにこれに応じたものと解するのが相当である」として、養育費の合意を認め、さらに将来の給付も命じた。

 

結論

この過去の判例では、夫は離婚時に養育費の金額は合意していなかったと主張しています。しかし、自分で納得した金額を離婚後2年半に渡って支払ってきました。

 

 

妻からすると、夫が暗黙のうちに養育費の金額を認めていると認識していたのです。そして、それを基に生活設計がされています。

 

 

実際に支払いが2年半にも及んでいることで、裁判所は養育費の金額等について合意があったと認める判決を下しました。

 

 

今回の事例では、元夫A氏は養育費の金額には合意していないとしているものの、3年もの間10万円を支払い続けてきました。この状況は、紹介した判例と酷似しています。

 

 

そのため、裁判となっても今まで払ってきた毎月10万円という金額は、お互いに暗黙の了解があったと追認されることでしょう。

 

養育費の金額が合意してなくても、長期間支払っていたら合意済みと見なされる!