第6話
面会交流ってしなきゃダメ!?

別居開始7ヶ月後。

 

 

息子は、私の実家での生活に完全に馴染んだ様だ。
最初は私の両親の前でぎこちなかったが、今では素を出して接している。

 

 

息子は、私と祖父母との4人生活で楽しそうにしている。
ただ、たまにお父さん(夫)のことを気にしているが。

 

 

それにしても、両親がいると何事も楽だ。
掃除、洗濯、育児など、母と分担している。
夫との3人暮らしよりも負担は軽い。

 

 

昔の家族って、こうだったんだな。

 

 

3世代が同じ家に住み、
男は外に稼ぎに行き、女は家を守る。
子どもは、母や祖父母や近隣住民で大勢で面倒を見る。

 

 

だが、現在の都会では核家族となっている。
夫が働いている間、子どもは母一人で育てている。
これでは、母に負担が集中してしまう。

 

 

ヒトって、母親一人で子どもを育てる生き物ではないのかもしれない。
本来は、祖父母などより多くの人の協力が必要なのだろう。

 

 

だが、現実的に都会の核家族は祖父母などの協力は得られない。
その代わりに、夫の協力が求められているのだろう。

 

 

最近イクメンという言葉が流行ってきたが、
これは核家族がうまく家庭を維持する秘訣なのかもしれない。

 

 

夫は、それに気づかずに不倫に走った。
家族のことを考えていれば、不倫などするはずがない。

 

 

だが、私も何か日があったのかもしれない。
私が気づいてないうちに、夫にプレッシャーを与えていたのかもしれない。
仕事で疲れている夫をもっと気遣えば良かったのかもしれない。

 

 

だが、全ては終わったことだ。
夫の暴力が全てを壊したのだ。

 

 

それに、別居してから既に7ヶ月も経った。
私にとって、夫との家庭は既に過去の話。

 

 

今はもう未来しか見えない。

 


 

別居開始8ヶ月後。

 

 

うーん。
困った。

 

 

銀行口座を見たが、
今月分の婚姻費用がまだ振り込まれていない。

 

 

別居開始時に、夫とは婚姻費用として月13万円で合意した。
最初7ヶ月は順調に支払われていた。

 

 

だが、8ヶ月目となる今月分は、まだ振り込まれて無い。

 

 

なぜ払われてるのだろう。
というか、なぜ夫は振り込んでないのだろう。

 

 

ただ忘れているだけ?
それとも、お金が無い?

 

 

待てば払ってくれるのか?
いや、家賃と一緒で、溜まれば溜まるほど支払われない。
まだ滞納額が小さいうちに、早めに催促しよう。

 

 

離婚後は、かなり切り詰めた生活になると思う。
そう考えると、少しのお金でももらっておきたい。

 

 

それにしても、夫は息子のことをどう思っているのか?
息子の生活費をケチるなんて、父親としてホント最低だ。
親として、婚姻費用はキチンと支払ってもらわなければ。

 

 

ただ、私から直接は連絡したくない。
声を聞いたら、今の平穏な心が乱れるかもしれない。
それに、お互い感情的になるだけだ。

 

 

こうなったら、弁護士から催促してもらおう。
あと、財産分与の交渉の進捗も聞いてみよう。

 

 

そう思っていると、ちょうど弁護士さんから電話がかかってきた。

 

 

≪弁護士との相談内容≫

 

離婚条件が固まってきました。
うまく行けば、来月くらいには離婚成立しそうです。


 

 

ホントですか!
よかったです!

 

ちなみに、離婚条件はどうなりそうですか!?


 

 

まず、財産分与は、婚姻期間中に貯めた貯金は400万円ですね。旦那さまが持っている口座は、通帳残高コピーを提示いただきましたが、ほとんどありませんでした。

 

したがって、この400万円を2人で200万円ずつに分け合うことになります。


 

 

 

 

 

夫の給与も入った通帳を、別居後も私が管理しておいてホント良かったです。
夫が持っていたら、勝手に使われたり隠されたりするところでした。


 

 

家は旦那さまは保有継続を考えている様です。
ただ、ご自身で住むのではなく、誰かに貸すみたいです。


 

 

 

 

 

保有継続ですか。
そうなると、財産分与の対象額は、査定額からローン残高を引いた金額ですね?
そして、その半分を私が夫から受け取るわけですね?


 

 

そうです。
まおさんは、査定額をできるだけ高くするほど、まおさんが得るお金は多くなります。
ぜひ、複数社に一括査定して、一番高い金額を提示してやるべきです!


 

 

 

 

 

そうですね!
査定額によって、私が得るお金は100万円や200万円くらいは簡単に変わりそうですね!


 

 

 

 

親権は、まおさまのものとなります。
旦那さまは、なんとか諦めてくれました。

 

当初は、『俺が育てていく』と言っていたのです。
しかし、母親有利であることや、今まで育児への貢献が少ない点などから、なんとか説得できました。


 

 

ありがとうございます。
息子は、絶対に手放したくありません。


 

 

ただ、旦那さまが強く要望されていることがあります。

 

面会交流です。
どうしても、子どもに会いたいとのことです。


 

 

そうですか…。


 

 

正直、離婚したら夫には会いたくない。
大事な子供も会わせたくない。

 

 

だが、子どもの心の健全な成長を考えると、父親の存在は大事だろう。
父親に会わせたくないという気持ちは、私のエゴなのではないか。

 

 

正直悩む。

 

 

だが、優先すべきは子ども。
子どものことを考えると、父親には会わせるべきだろう。

 

 

ここで私の『夫に会わせたくない』という気持ちを押し通すのは、母親としても失格かもしれない。

 

 

 

 

 

 

分かりました。
息子の事を考えると、父親には会った方が良いと思います。
むしろ、『父親なのだから、これからも息子には愛情も生活費も与え続けて欲しい』と伝えてください。


 

 

分かりました。
月一回、まおさんのご実家の近くの公園などで行う様に取り決めましょう。

 

あと、養育費は毎月7万円でOKとのことです。
婚姻費用と同じように、算定表から決まりました。


 

 

 

 

 

その婚姻費用なのですが、実は今月分がまだ支払われて無いのです。
夫に支払うように催促して欲しいのですが。


 

 

わかりました。催促かけますね。
滞納は、早めの解決が一番ですからね。

 

ちなみに、昨日旦那さまと話したところ、『さっさと離婚してしまいたい』と言っていました。とても、離婚したそうでした。おそらく、婚姻費用が辛いと思われます。

 

そのためか、提案した離婚条件をほぼ無条件で受け入れていました。


 

 

 

 

 

なるほど!
婚姻費用のプレッシャーは、離婚条件の交渉にまで効いていたということですね。


 

 

旦那さまは、弁護士にも相談しに行ってないと思います。
専門的な知識などは、ほとんど発言されなかったです。

 

本当は、苦しい時ほど誰かに相談すべきなのですけど。
かなり追い詰められている様子でしたね。


 

 

 

 

 

一人で考えていたら、考え方がどんどん悪い方向に向かって行きますよね。
(これは、ミライさんが言っていたな)


 

 

滞納中の婚姻費用に関しても安心してください。

 

財産分与の清算時に、滞納分もまとめて払ってもらいましょう。
もし払うお金が無いと言っても、財産分与で調整することもできますね。


 

 

確かに。
それを聞いて安心しました。


 

 

ちなみに、将来的に養育費の支払いが滞った場合、旦那さまの会社の給与を差し押さえすることが可能です。
一度差し押さえの手続きをすれば、以後は強制的に支払わせることができます。


 

 

そうなのですか!?
では、泣き寝入りしなくても良いってことなのですね。


 

数日後、弁護士から連絡があり、夫との離婚条件は決まったという。
滞納していた婚姻費用は、弁護士が催促した翌日に振り込んできていた。

 

 

離婚条件は、当初に弁護士と話していた条件通りで決着した。

 

最終的な離婚条件
  • 財産分与
  •  貯金額:2人で貯めた400万円を2人で分ける
     家:夫が保有継続(分与多少は300万円)

  • 親権:妻(私)
  • 面会交流:月1回
  • 養育費:月7万円(20歳まで)

 

貯金は、400万円を全て私が管理していた。
つまり、私が夫に200万円支払う計算となる。

 

一方、家は夫が保有継続する。
分与対象は、査定額からローン残高を引いた300万円。
この時、夫は私に150万円支払う必要がある。

 

 

双方の支払いを相殺し、私が夫に50万円を支払うことで清算となった。

 

 

離婚条件が固まると、弁護士が離婚協議書を作成することになった。
この合意書があると、後々争いになった際に、強い証拠となるのだ。

 


 

別居開始10ヶ月後。

 

 

ある日、弁護士さんから封筒が届いた。
中には離婚届入っていた。

 

 

離婚届の用紙を開くと、
左側には汚い字で、
夫の名前・住所が書かれていた…。

 

 

やっと離婚できる…。

 

 

うれしさ。

 

喜び。

 

悲しさ。

 

解放感。

 

達成感。

 

責任感。

 

 

言葉では説明できない様々な感情が出てくる。

 

 

過去が、走馬灯のように過ぎ去っていった。

 

 

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