第11話
3回目の離婚調停!東京高裁の判例を基に強気の主張!妻側弁護士と激論を交わす!

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妻が出ていって5か月

 

今日は3回目の離婚調停です。

 

今日は、『婚姻費用算出には、私の投資用マンションの家賃収入を加えるべきではない』と主張することに全力を注ぐつもりです。
そのための材料は、過去の東京高裁の判例です。

 

 

婚姻費用を計算するにあたっては給与収入のみを考慮し、不動産収入は考慮しない
(東京高裁昭和57年7月26日決定、家裁月報35巻11号80頁)

 

 

調停も3回目となると、裁判所に着いてドキドキすることはなくなりました。
最初の頃は、家を出るときからドキドキしていたのに。

 

 

いまは、目の前の調停に集中できています。

 

第3回離婚調停(前半)の会話内容

 

さて、婚姻費用を決めていきましょう。
まず、奥様の直近の給与明細と雇用条件書をお渡しします。

 

奥様は転職なさったそうです。
年収は約360万円で、転職前とほぼ変わりません。


 

 

転職したのですか。
妻の年収の件、わかりました。


 

 

それで、ヤマトさんからの『婚姻費用についての陳述書』と『東京高裁の判例』、届いております。

 

ところで、前回の調停で部長クラスの裁判官(部長クラス裁判官)がお話しされていましたが、投資用マンションの減価償却の資料はお持ちになられていますか?


 

 

 

 

 

さて、来たな。
少し頑固な印象を与えてしまうかもしれないが、今日のところは強引に『出さない』と主張し続けよう。

 

しかし『出さない』ことが目的ではなく、『判例と異なる結論なら東京高裁へ抗告する』ということを強くアピールするのが目的だ。


 

 

 

 

 

私の主張は、提出した判例のとおり私の副業の家賃収入は年収に入れないというものです。
したがって、減価償却の資料は必要無いなので出しません。


 

 

 

前回の調停で部長クラスの裁判官は出してくださいと言っていました。
それでも出さないということですか?


 

 

 

 

 

出しません。
判例の通りであれば、この資料無しで結論を出せるはずです。

 

もし出すとしたら、東京高裁で出します。
調停や審判で私の主張と異なる結論が出た場合は、東京高裁に抗告します。
東京高裁で、判例の内容と同じ審判を取りにいきます!


 

 

出せない理由があるのですか?


 

 

 

 

 

出せない理由などありません。
確定申告は毎年税理士にチェックしてもらっています。

 

『出せない』のではなく、『出さない』のです。
私の不動産収入は、プラスとかマイナスとかゼロとかではなく、無として扱ってください


 

私はこの時、不動産の減価償却の資料を出さないことを強めに主張しました。

 

 

しかし、調停委員よ。分かってください。

 

 

私は、出したくないとか出せないとかではなく、裁判官に『判例と同じ結果でなければ、ヤマト氏は東京高裁に抗告する気だ』と印象付けるためなのです。
そうすることで、裁判官は判例通りの結論を出さざるをえなくなるはずなのです。

 

 

私が出そうとしないのは、
裁判官を説得するための演技なのですよ!

 

 

 

どうしても出さないのですね。
裁判官に伝えます。


 

 

離婚については、現時点ではどうお考えですか?


 

 

 

 

 

さて、これも重要な点だ。

 

現時点で経済的に私が優位な条件を引き出すためにも、相手が現時点でどう考えているか直接聞いてみようか。


 

 

 

 

 

私は、引き続き復縁希望です。
しかし、このまま話が平行線となっては仕方ありません。
いつか結論を出さなければならないでしょう。

 

妻に対する気持ちとして一番ふさわしい想いは、感謝です。
現時点で妻が離婚希望なら、離婚拒否だけが私の選択肢ではありません。

 

そこで、妻が離婚の条件を考えているか聞いてみたいと思います。
一度、妻側弁護士と同席して話すことは可能でしょうか?


 

 

奥様の弁護士は拒否しないでしょう。
裁判官にも相談してみます。

 

一度、待機室でお待ちください


 

待合室で待たされること約10分。
再び調停委員に呼ばれて部屋に入りました。
妻側弁護士3人が座っています。

 

 

狭い部屋に、
調停委員2人、
妻側弁護士3人、
そして、
ヤマト。

 

 

机を挟んで妻側弁護士3人と対峙しました。
この風景だけ見ると完全に劣勢です。

 

 

妻側弁護士たちは余裕の表情です。
少し笑みも浮かべています。
余計なことを言ってしまったら、相手の容赦ない攻撃が待っているでしょう。

 

 

この同席での議論の目的は、@相手が離婚条件を提示してくるかどうかと、A裁判することへの本気度を確認すること、です。
下手に議論に乗っかって、余計なことを言わない様に注意しなければなりません。

 

第3回離婚調停(後半)の会話内容

 

では、始めてください。
ただし、くれぐれも話し合いの場であることを忘れないでください。


 

 

 

 

 

私は、妻の『離婚したい』という主張には納得できません。
しかし、このまま話が平行線では何も解決しません。
申し立てからかなりの時間が経っていますが、離婚の条件などは考えているのですか?
条件によってはこちらも検討してみますが。


 

 

そんな離婚に応じるかどうかわからない状況では、条件の話を進めることはできません。


 

 

そうですか…。


 

 

さすがに、簡単には条件を出してこないか…。


 

 

もうさっさと不調にして、裁判を始めたいんだがなぁ〜。


 

 

こんなに簡単に裁判を主張するのか。
裁判だけは絶対にイヤだ。
こんな事に1年以上も時間をかけたくない。


 

 

ヤマトさん。
婚姻費用についてはどう考えていますか?


 

 

 

 

 

私の年収に、投資用不動産の家賃収入を含めるべきではありません。
お送りした東京高裁の判例の通りです。


 

 

とりあえず、ヤマトさん、早く不動産収入の分かる資料を全て出したらどうかね!


 

 

 

 

 

私の主張は『年収に家賃収入は含めない』というものです。

 

この場では出しません。
出すとしたら、東京高裁で出します。


 

 

やましいことでもあるのかね。
やましいことがなければ、さっさと出したらどうかね?


 

 

繰り返しになりますが、今は出しません。
出すとしたら、東京高裁で出します。


 

 

全く話が進まないではないか。
調停委員さん、もう不調にして下さいな。

 

裁判で決着付けよう!

 

裁判しかないね!

 

もう裁判だ!

 

裁判だあぁー!


 

 

 

 

 

こ、この爺さん、なんて強気なんだ。

 

私は裁判なんて絶対したくない。
ただの脅しだよな!?

 

けど、あまりにも裁判を連呼されると気持ちが萎えてくる。
心を強く持たなければ…。


 

 

まぁまぁ、私に免じてもう一度だけ調停に来ていただけませんか?


 

 

…。


 

 

では、今日はここまでです。

 

ヤマトさんは、離婚調停を不調にしても良いかと、投資用不動産の減価償却の資料をどうしても出さないのかを、もう一度考えてきてください


 

こうして、第3回の調停は終わりました。

 

 

私は、かなりの覚悟を持って調停に臨んだつもりでした。
しかし、何度も裁判を繰り返し迫られると、心が弱ります。

 

 

同席での議論中、何度も逃げ出したくなりました。
さっさと離婚に合意して早く楽になりたいという考えが、何度も頭をよぎりました。

 

 

しかし、心が揺れるたびに、
歯を食いしばり、
机の下で自分の太ももをつねって、
気を強く持ち続けました。

 

 

相手が余裕の笑みを浮かべても、
決して下を見ることなく、
相手の目を見返していました。

 

 

離婚の議論をし続けるには、
よほど強い精神力でないと耐えられません。
大量のエネルギーを消耗します。

 

 

今日はとても疲れました。
裁判所を出ると、放心状態でした。

 

 

家に帰ると、
どっと疲れが出て、
そのまま深い眠りにつきました。

 


 

妻が出ていって5ヶ月半

 

3回目の調停が終わった頃、もう裁判を避けられないという心境になっていました。

 

 

妻側弁護士は、とても強い口調で『裁判したい』『裁判しかない』と言っていました。

 

 

私は裁判などしたくありません。
しかし、条件を譲歩はしたくありません。

 

 

とりあえず、次回の調停に向けて、K弁護士に相談に行きました。

 

K弁護士との相談内容
Q&A@

 

 

 

 

婚姻費用に関して、次回に審判することが決まった場合、結果が出るのはいつくらいか?
また、東京高裁へ抗告をする場合、どのようなスケジュール感で進んでいくか?


 

 

裁判官は、まずは調停の場での合意を勧めてきます。
それでも不満ならば審判を仰ぐ形になります。

 

審判をすることが決まれば、2か月後くらいに審判の期日が設定されます。
そして期日までに裁判所へ資料を提出します。

 

そして、期日から1か月半〜2か月後に審判の結果が出ます。
審判結果に不満なら2週間以内に東京高等裁判所に抗告し、高裁での審判を仰ぐことになります。


 

Q&AA

 

離婚裁判で私が負けてしまった場合、私は妻へ弁護士費用や裁判費用などを支払う必要はあるか?


 

 

裁判で離婚が認められると、財産分与や慰謝料なども決めることになります。
しかし、それ以外の費用はほぼありません。

 

奥側弁護士の費用は、奥様が得ることになる財産分与や慰謝料から支払われるので、ヤマトさんへ請求が来ることはありません。

 

ヤマトさんは、印紙代、交通費、ヤマトさんが依頼した場合の弁護士報酬などが必要です。


 

Q&AB

 

 

 

 

現時点では、経済的に優位な条件での離婚が優先事項とします。
今後の調停において気を付けることはありますか?


 

 

経済的な条件を最優先させるなら、離婚を認める代わりに経済的条件で優位に立つという議論に持ち込むのは鉄則です。
少しイヤらしい方法かと思われるでしょうが、これは王道の主張です。

 

そのため、調停の場であっても先に離婚に同意することはリスクです。
もし、調停で離婚に合意していた場合、その後に裁判になった場合、『離婚に一度は合意した』という事実は材料視されてしまいます。


 

Q&AC

 

 

 

 

離婚裁判で私が勝った場合(離婚不可の判決)、私にとってのメリットは何か?
例えば、同居義務違反で損害賠償請求などはできるか?


 

 

正直、メリットは何もありません。

 

同居義務違反での損害賠償請求や慰謝料請求なども認められないでしょう。
あるとしたら、妻側が『お願いだから離婚してください』と条件で譲歩してくる可能性が高くなるくらいです。


 

一人で調停に臨んでいると、心落ち着かなくなることが多々あります。
私も妻も、自分は正しいと思って主張しています。
そのため、相手がこちらの要求を素直に受け入れてくれることは稀です。

 

 

一方、時には突飛もない主張をされることすらあります。
『裁判』をほのめかしてプレッシャーをかけてきたりします。
嘘や誇張もたくさんあります。

 

 

何度も精神的に辛くなる場面に遭遇するでしょう。
自分の主張に自信がなくなるときもあります。

 

 

そういうとき、弁護士が同席していたり、定期的なアドバイスを受けていることで、自分の主張に自信が持てます。

 

 

自信ある主張は、間違いなく相手に響きます。
一方、自信が無くておどおどした主張を繰り返すようであれば、相手のペースで進んでしまいます。

 

 

離婚はほとんどの人にとって人生で初めてです。
(弁護士以外で、離婚協議や調停の経験が豊富な人なんていません)
その様な状況で、常に冷静でいられるとは到底思えません。

 

 

弁護士に相談・依頼するメリットは、専門的な対応をするためだけではありません。
プロの意見を聞いて頭が整理することで、自身を持って冷静に対応できるのです。

 

 

最初は、複数の弁護士に相談することで相性の良い弁護士に出会えるでしょう。
その弁護士には、とことん相談・依頼して悩みを相談しましょう。

 

 

私はK弁護士を信頼し、
アドバイスを受けて強くなっていたからこそ、
自信を持って調停に臨むことができてきました。

 

 

そのため、

 

妻側弁護士が何を言っても、

 

強い口調で裁判を迫ってきても、

 

心が折れずに対抗できたのです。

 

 

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