セックスレスの相談事例

  • 夫A氏は、30代半ば半の会社員。
  • 妻Bさんは、30代半ばの専業主婦。(相談者)
  • 子どもは1人で、5歳の娘。

 

私は悩んでいる。

 

夫A氏が、夫婦の夜の営みに応じてくれないのだ。
かれこれ、私たち夫婦は3年間もセックスレスなのだ。

 

私は、子どもが2歳になったのを機に、3年前に職場復帰した。
それまでは家事と育児だけの毎日だったが、社会に復帰してから変わった。

 

育児中は子どもが私の全てだった。
だが、職場復帰したことで人間関係が広がった。
専業主婦も充実していたが、こうやって外の世界の刺激も好きだ。

 

毎日職場に行くので外見にも気を遣うようになった。
雑誌などを見て、30代女性に似合う髪型や服装を意識している。

 

職場では、よく美人と言われる。
社交辞令だと思うので受け流しているが。
だが、元々自分磨きも頑張る方なので、そう言われるとイヤな気はしない。

 

自分磨きを頑張っている理由はもう一つある。
それは、今は夫にもっと私を見てもらいたいという思いがある。
なぜなら、最近は私を女性として見ていない様な気がするからだ。

 

夫と結婚してもう10年経つ。
最初はラブラブだったが、夫にとって今の私は一人の女性ではなく家族という存在になっている気がする。
交際時や子どもが生まれる前とは、明らかに私を見る目が変わった。

 

だが、私はまだ女性として見て欲しいと思っている。
もっと私を求めて欲しいという気持ちがある。

 

それに、女性が30歳を超えたら、”そういう気持ち”が強くなるとも聞く。
仕事に復帰したからか、育児が落ち着いたからか分からない。
2,3年前ほどから、夜の営みがもっと欲しいという強く思う様になってきているのだ。

 

だが、夫が全く夜の営みに応じてくれないのだ。

 

言葉で誘っても無視される。
雰囲気で求めても気づいてくれない。
ベッドで触れても払いのけられる。
下着を新しくしても、全く気付いていない。

 

完全なセックスレス状態なのだ。

 

思い悩んで、既婚の女友達に相談してみた。
みな、今でも夫婦の夜の営みはあるようだ。
新婚時よりも頻度は減ったものの、毎月1,2回はしているらしい。
少なくとも、毎回断られることなんてないと言う。

 

私に魅力が無いのかも、と聞いてみた。
しかし、友人達は大丈夫だと言ってくれる。
むしろ、美人なのになぜ夫が求めないのか気になるらしい。

 

一度、きちんと話してみたらとアドバイスされた。
断られても、簡単に諦めないように言われた。
交際前は夫が必死に追いかけてきたのに、こんなに立場が逆転してしまうなんて…。

 

 

 

ある夜のことだった。

 

子どもを寝かしつけから、ベッドで寝転んでいる夫の横に横たわった。
そして、夫に寄り添って触れてみた。

 

しかし、夫は私の体を押し返した。
今日も避けようとしている。

 


「こっちは仕事で疲れているんだ」

 

それでも、引かなかった。
必死に食い下がる。
今日こそきちんと話をしないと。
もうこんな枯れた毎日はイヤだ。

 

私はまだ33歳だよ。
もう女として終わったなんて思いたくない。
たまにキレイって言われるんだよ。
このまま干乾びていくなんて耐えられない。

 

だが、夫から帰ってきた言葉は予想を遥かに超えたものだった。

 


「そもそも、もう結婚して何年経ったと思ってるんだ。
10年だぞ、10年!
それだけ一緒にいたら、もう女としても魅力なんて感じないよ。

 

それなのに、赤とかピンクの下着とか来て近寄ってくるなんて、正直気持ち悪い。
そんなことされると、ますます魅力を感じない。
わざとらしいし、目ざわりだからやめて欲しい。

 

それに、子どもが欲しいなら分かるけど、行為が目的なんて。
どうしてもしたいなら、自分で処理しとけば?」

 

妻Bさんは、何も言い返せなかった。
ベッドから飛び出すしかなかった。

 

夜遅くまでリビングで泣きながら思った。

 

夫が私をそんな風に思っていたなんて。

 

今のままでは、女として自信を無くす一方だ。

 

女は、夫に大事にされたいんだよ。
話し合って触れ合うことで、愛されていると感じたいんだよ。

 

もう、こんな毎日はイヤだ。
このままだと、私の心がダメになってしまう。

 

Bさんの頭に、初めて離婚という文字が浮かんだ。

 

この事例の争点

この事例では、妻の再三の誘いにも関わらず夫は夫婦の夜の営みに応じようとしていません。

 

妻Bさんは、まだ30台前半という年齢です。当然、夫と触れ合いたいという気持ちはあります。そして、身なりにも気を使っており、夫をその気にさせようとする努力もしています。

 

一方、夫A氏はそんな妻Bさんからの誘いに応じようとしません。仕事で疲れているという理由ですが、休みの日でも同じ返答です。それどころか、意を決して訴えた妻に対して、妻の自尊心をないがしろにする言葉を発しています。

 

この事例では、セックスレスに悩む妻がそれを解消する努力をしているものの、夫が夫婦の営みに応じようとしません。妻Bさんが、そんな夫A氏と離婚できるのかが争点です。

 

では、この事例に似た過去の判例を紹介します。

 

判例の紹介

判例@

京都地裁

昭和62年5月12日判決

判事1259号92頁

夫に性欲が無いにもかかわらず、結婚する際に妻に告げておらず、3年半の同居期間中に性交渉は無かった。京都地裁の判決では、「婚姻が男女の精神的・肉体的結合であり、そこにおける性関係の重要性に鑑みれば、(中略)特段の事情がない限り、婚姻後長年にわたり性交渉の無いことは、婚姻を継続しがたい重大な事由にというべき」として、婚姻前に性交不能を告知しなかったことなども理由として離婚を認めた。

 

判例A

岡山地裁

平成3年3月29日判決

判事1410号100頁

同居期間中、夫は妻に夫婦の夜の営みを拒否し続けられた例です。
妻が夫と性交できない理由は、妻が性交渉に精神的に耐えられないと医師に判断されているという。だが、そもそも婚姻とは子どもの育成が重要な目的となされるのが常識であり、夫婦間の性交渉は通常行われるべき営みである。そのため当事者(夫)が性交渉に期待する感情を抱くのは自然である。妻は原告と婚姻関係にありながら性交渉を拒否し続けて、(中略)婚姻を破綻させたので、不法行為責任に基づいて、精神的苦痛を慰藉すべき義務がある、との判断を下しました。

 

結論

過去の判例から、セックスレスは裁判にといて離婚事由のうち、『婚姻を継続し難い重大な事由として』として離婚や慰謝料が認められています。

 

いずれの判決においても、夫婦の夜の営みは当然行われるものであり、かつ、夫婦にとって重要だと考えられています。そのため、夫婦間での性交渉を、正当な理由なくどちらかが拒否する行為は、裁判所は離婚事由になると考えているのです。

 

セックスレスは、『婚姻を継続し難い重大な事由として』離婚も慰謝料も認められる!