第8話
夫の不倫相手との会話内容を大公開!慰謝料は!?そして、今後の夫との関係は!?

家族会議以降、夫とは平和な毎日を送っている。

 

 

夫は、私への気遣いはもちろん、今まで以上に家事・育児を積極的に手伝ってくれる。
元々家族サービスはしていたので、特にやり方を教えなくても十分こなせている。

 

 

あぁ、不倫してなかったら最高の夫だったのに。

 

 

夫の不倫相手Sさんとの話し合いは、週末の土曜日の昼からとなった。
私は弁護士と共に行くことにした。

 

 

不倫慰謝料の話し合いを、何度もするつもりはない。
その場で慰謝料の合意する様にしよう。
もし相手が支払いに応じなかったら、さっさと裁判所に訴えよう。

 

 

だが、気になることがある。

 

夫の不倫相手は、どんな人だろう。

 

 

もし若かったら、大金を請求するのはかわいそうか?
いや、人の家庭の平和を脅かしたんだから当然だ。
不倫がどれほど痛い目に合わせることで、二度と夫に近づかない様にできるのだ。

 

 

話し合いの場所は、新宿の喫茶店。
時間通りに行くと、すでにSさんは来ていた。

 

 

Sさんを一目見て、驚いた。
お世辞にもキレイとは言えない。
どちらかと言うと、地味目な女性だ。

 

 

夫は、こんな女性と不倫なんてしていたなんて。
カワイかったり美人だったら、少しは納得できるのに。

 

 

だが、Sさんを見ているうちに、私は沸々と怒りが湧いてきた。

 

 

目の前の女は、私の大事な夫と不倫関係にあったのだ。
私という妻がいながら、私の夫と寝ていたのだ。

 

 

家族会議では冷静にいられた。
だが、いざ不倫相手を目の前にすると感情を抑えられない。

 

 

この女は、私の夫を寝取っていたのだ!
この女は、泥棒猫なのだ!

 

 

絶対に、不倫慰謝料は満額取ってやろう!

 

夫の不倫相手Sさんとの協議内容

 

あの、この度は申し訳ございませんでした。


 

 

あんた、いったい何をしたのか分かってるの!
人の旦那に手を出して、
絶対許さないから!


 

 

私は、今までの人生で人に向かって怒鳴ったことなどない。
どんなことがあっても、感情的にならないようにしてた。

 

 

喧嘩などでも感情的になった方が負けだ。
不利な立場ほど、感情の爆発で押し通そうとするものだ。

 

 

だが、目の前の女は夫と不倫していた。
私の愛する夫を寝取っていたのだ。

 

 

そんな女を目の前にして、
さすがの私も感情を抑えることなどできない。

 

 

 

本当にすいません。


 

 

絶対に許しません!
なぜ夫と1年近くも不倫していたのよ!?


 

 

本当にすいません。
ダメだと思いつつも、どうしても止められませんでした。


 

 

先日送付した内容証明は読まれましたか?
不倫の証拠写真として、A氏とラブホテルに入る写真の女性はあなたですか?


 

 

はい、見ました。
写真の女性は、間違いなく私です。


 

 

A氏とは会社の同僚ですよね?
A氏が既婚者だと知っていましたか?


 

 

はい、知っていました。
お子さんもいると聞いていました。


 

 

私どもとしては、不倫の慰謝料として300万円を請求します。


 

 

Sさんは、申し訳なさそうにしている。
繰り返し謝罪の言葉を並べる。

 

 

だが、Sさんの顔を見ていると、怒りが収まらない。
何としても、慰謝料として300万円を頂こう。

 

 

お金で私の心の傷は元に戻らない。
だが、二度と夫に近づけないためには痛い目に合わせなければならない。

 

 

 

300万円ですか…。
ご迷惑お掛けしたので、お支払いします。

 

ただ、分割払いでも良いですか?


 

 

この女、どこまで都合の良い考えなんだ!
自分から分割払いを提案するなんて…。

 

 

本当に反省しているのか!?

 

 

 

 

 

 

あなたの事情など知りません。
300万円、きちんと払ってもらいますから。

 

払わないなら、会社へ請求しに行きますから。


 

 

お願いします、会社にだけは来ないでください。
他の人に迷惑が掛かってしまいます。

 

今は、60万円くらいしか無いのです。


 

 

 

 

 

あなた何歳!?
30歳くらいでしょ!?

 

何年も正社員で仕事続けているのに、なんで貯金60万円しか無いのよ?


 

 

今31歳です。
貯金が無いのは、昨年元カレにお金を持っていかれたからです。
今手元にあるのはホントに60万円ほどだけです。


 

 

元カレに持っていかれた?
どういうことよ?


 

 

昨年、私の30歳の誕生日に、5年間付き合ってた人にフラれたんです。

 

それまで、将来の結婚式のお金と思って貯めていた。
そして、毎月給料が入ったら元カレに預けていました。

 

フラれた時に、元カレに『貯金を返して欲しい』と言いました。
しかし、元カレはギャンブルに使ってしまって、全て無くなっていました。
5年間で計250万円預けていたのですが、1円も返ってきませんでした。

 

今手元になる60万円はすぐにお支払いします。
ただ、残り240万円は分割でお願いできないでしょうか?


 

 

 

 

 

・・・。

 

私の夫は、あなたが彼氏にフラれたことや、元カレがお金を浪費したことを知っているの?


 

 

はい、私が彼氏にフラれた頃は、毎日相談に乗ってもらってました。
仕事後に泣いている時とか、ご飯をごちそうになりながら悩みを聞いてくれていました。

 

Aさんの言葉って、聞いていて落ち着きますよね。
親身に悩みを聞いてくれて、ホントうれしかったのです。


 

 

『夫の言葉が落ち着く』だと…。
『親身に悩みを聞いてくれて』だと…。

 

 

確かに、私も夫と交際している時から夫は心の支えだった。

 

 

私は、交際当時から色んな悩みを夫に打ち明けてきた。
仕事の事。友人のこと。上司の事。将来の事。

 

 

夫の真摯に相談に乗る姿勢と、的確なアドバイスと、男らしい低い声は、聞いているだけで心が落ち着いてくるのだ。

 

 

夫本人は気付いてないだろうが、人を落ち着かせるのが上手い。

 

 

夫は、同僚のSさんを精神的に支えていたのだろう。
良くも悪くも、夫の良い面が出たのだろう。

 

 

 

夫は、他に何か言っていた?


 

 

Aさんからも色々話を聞きました。

 

出産後に第二子が欲しいと思って妻をベッドに誘っても、全て拒否されてしまっていた、と。
それ以来、これ以上の夫婦関係悪化を避けるためAさんから誘うのは止めた、と。

 

Aさんは、本気でセックスレスに悩んでいた様でした。

 

普段は頼りになるAさんの弱い部分を見て、私はつい好意を持ってしまいました。


 

 

え!?
夫がセックスレスに悩んでいた!?

 

 

確かに、出産直後は夫から夜を誘ってくることがあった。
だが、私は疲れていたので全て断っていた。

 

 

 

さやかさん、出産直後にAさんがさやかさんをベッドに誘った時に、さやかさんがAさんに何と言ったか覚えてますか?

 

 

さやかさん、『痛い!触らないで!』と言ったそうですね。
Aさん、それでとても傷ついて、それ以来誘えなくなったそうですよ。


 

 

えっ!?


 

 

確かに、夫が求めて来た時、私は『痛い』とは言った記憶がある。
ちょうど、その時から夫は私を誘ってこなくなった。

 

 

私は、気付いていなかった。

 

 

その言葉は、夫を深く傷つけていた。
夫は、私を求めたくても自然と心のブレーキをかけていたのか。

 

 

夫は、私からの”言葉”を受けて、私を誘えなくなったのか。
そして、夜の営みが無いことで、寂しさをずっと溜めていたのか。

 

 

そんな時、Sさんの悩み相談をしているうちに、Sさんと不倫関係に陥ったのだろう。

 

 

その後、私は1年程前から夫とのセックスレスに悩んでいた。
だが、それ以前に5年間から夫は私とのセックスレスに悩んでいたのか。

 

 

ということは、今回の不倫は夫だけのせいではない!?

 

 

もちろん、不倫していた夫が悪いのは当然だ。
だが、私も不倫の原因の一部を担いでいたのではないか!?

 

 

 

私は、Aさんと色んな悩みを共有しました。

 

色々相談するうちに、どんどん好意が強くなりました。
そして、いつしか体の関係を持つようになってしまって…。

 

それで、ダラダラとした関係が続いてしまいました。


 

 

・・・。


 

 

ホント、さやかさんには申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

もう不倫なんてしませんし、Aさんとも話したりもしません。
次の異動で、Aさんとは遠く離れた部署に異動希望を出します。

 

だから、いま手元に無い残り240万円については、分割払いでお願いできませんか?
毎月5万円、48回払いで必ずお支払します。


 

 

残り240万円を、48か月かけて払うのか。
ちょうど4年かかることになる。

 

 

Sさんは、今31歳。
240万円を支払い終えるのは35歳。

 

 

Sさんは、元カレとの結婚資金を貯めるほど結婚願望があるのだろう。
だが、いまここで240万円もの借金を背負わせたらどうなる?

 

 

どんな男性も、借金を背負っている女性には警戒するはずだ。
借金を背負っている間は、婚活は上手くいかないだろう。

 

 

そう考えると、結婚適齢期の女性に4年間もお金を返済させ続けるのは酷ではないか?
借金のせいで婚期を逃してしまっては、Sさんの人生への影響は大きすぎるだろう。

 

 

Sさんの不倫は、許されるものではない。
だが、夫が不倫に走った原因は、私が出産直後に夫を拒否していたのも一因ではある。
この不倫劇の原因には、私も関係無くはない。

 

 

それなのに、私はこの女性の30代前半の4年間を奪っていいのか。

 

 

4年も婚期を遅らせる事は、
私は決して望んではいない。

 

 

もし300万円払わせてしまったら、
私は一生後悔し続けるに違いない…。

 

 

 

Sさん、もう二度と不倫はしませんか!?
もう二度と夫には近づきませんか!?


 

 

もちろんです。
私の勝手な行動で、多くの人を傷つけてしまいました。
不倫関係を続けていたことを深く反省しています。

 

不倫なんて、もう二度としません。
Aさんとも完全に縁を切ります。


 

 

 

 

 

わかりました。

 

では、残りの240万円は今回は結構です!
お支払いただかなくて結構です!

 

ただし、再び夫に会ったり連絡したら、サラ金で借金してでも払ってもらいますから!


 

 

え!?
ホントですか!?


 

 

 

 

 

じゃあ、この不倫慰謝料60万円の合意書にサインしてください。
60万円は、1週間以内に支払ってください。


 

 

Sさんは、不思議そうな顔でこちらを見ている。

 

 

当然だ。
不倫の被害者である私が、不倫慰謝料の一部支払いを免除したのだから。

 

 

Sさんが離婚慰謝料の合意書にサインしているとき、私はSさんの姿を見ながら様々な考えが巡っていた。

 

 

Sさんがしていた不倫は、どう見ても悪いことだ。
だが、このSさんは悪い人かと言うと、そうは思えない。

 

 

30歳の誕生日に元カレにフラれ、結婚資金として貯めていた250万円を持っていかれた。
おそらく、精神的にドン底だったに違いない。

 

 

そんな時、毎日悩み相談をしていた夫に好意を寄せてしまった。

 

 

もちろん、本来ならそこでブレーキをかけるべきだ。
だが、それほどの絶望状態で男性から優しくされたら、異性として意識してしまうだろう。

 

 

話を聞く限り、目先の欲で不倫に突っ走った訳ではなさそうだ。
ましてや、私から夫を略奪しようと思った訳でもなさそうだ。

 

 

それに何より、夫にセックスレスという悩みを抱かせたのは私だ。

 

 

出産直後に、夫に事情を説明していればよかった。
まして、私が『痛い』なんて言わなければ、夫をセックスレスで悩ませることもなかった。
さらに、夫がセックスレスに悩んでいることに、私は気付けていなかった。

 

 

そう考えると、今回の不倫劇は男女の欲の延長ではない。
偶然と不運が積み重なって、Sさんと夫は不倫関係になったのだ。

 

 

 

さやかさん、私が言うのもなんですが、Aさんは素晴らしい人ですね。

 

私は、決して見た目は良いとは言えません。
どんな男性も、私の言うことを真摯に聞いてくれることはありませんでした。

 

しかし、Aさんはそんな私の悩み相談に真剣に乗ってくれました。
Aさんが相談に乗ってくれたから、仕事に集中できました。

 

Aさんの言葉で、私がどれほど救われたか。
私、さやかさんが…羨ましい。


 

 

その瞬間、私は机をバンと叩いて立ち上がった。
そして、Sさんの言葉を遮って言い放った。

 

 

 

いい加減にしなさい!
あなたの口から、夫の事は聞きたくありません!

 

弁護士さん、後はよろしくお願いいたします!


 

弁護士に後は任せて、私はその場を立ち去った。

 

 

足早に喫茶店から出た時、
私の目は、大粒の涙が溢れていた。

 

 

Sさんは、不倫慰謝料の合意書にサインしながら涙していた。
それでも私は、不倫の被害者なのでSさんに強い態度を取り続けた。

 

 

だが、あれ以上あの場にいたら、私も一緒に泣いてしまうとこだった。

 

 

この不倫劇の被害者は誰だ?

 

 

30歳で元カレにフラれてお金も取られたSさん
出産直後、妻である私にセックスを断られ続けていた

 

それとも、愛していた夫が不倫して苦しんだ

 

 

この不倫劇の加害者は誰だ?

 

 

Sさんの悩み相談に乗って不倫してしまった
私の夫と不倫を続けていたSさん

 

 

それとも、5年前とは言え、夫からの夜の誘いを断り続けていた

 

 

この不倫劇は、誰が正義で、誰が悪と言うものではない。
被害者だと思っていた私が、元を辿れば夫を傷つけている加害者でもあるのだ。

 

 

不倫の証拠を得た時は、『これで裁判しても勝てる!見ていろ!』と思った。

 

 

だが、家族会議を行って夫に謝罪させ、その後にSさんと会って不倫慰謝料に合意させたが、勝ったという実感は微塵もない。

 

 

この不倫劇、誰しもが加害者であり被害者でもあったのだ。

 

 

そういや、ミライさんとの相談で、ミライさんは最後に言っていた言葉がある。

 

 

不倫に勝ち負けはありません。
過去の清算と未来をどうするか
が重要です。


(※セックスレスで離婚するかも!? 第6話)

 

今になって、その言葉の意味が分かった。

 

 

不倫は人間の煩悩の塊
正義で片付けられるものではない。

 

 

だが、いつまでも不倫の過去に囚われているわけにはいかない。
不倫を精神的にも克服し、未来に向かって進まなければ。

 

 

ともあれ、Sさんとの話し合いは終わった。
Sさんは不倫を反省し、慰謝料60万円の支払いに合意した。

 

 

Sさんとの決着は着いた。

 

 

だが、これで全て終わったわけではない。
最後に、やることが残されている。

 

 

夫には、私の言うことを一つ聞く約束となっている。
最後に、夫にその内容を伝えようと思う。

 

 

これで、本当に最後の最後だ!
過去を清算し、未来に向かうのみ!

 

 


 

 

家に帰ると、夫が玄関まで走ってきた。
私がSさんと会うことを、よほど気にしていたのだろう。

 

 

だが、
玄関まで走ってきたものの、
私にどう言葉をかけて良いのか戸惑っている。

 

 

夫が言葉を絞り出そうしたが、
逆に私が夫に向かって話し始めた。

 

 

夫の目を見て、はっきりした口調で。

 

 

 

 

 

家族会議で『何でも言うことを聞く』と言いましたよね?
その内容を、今お伝えします。


 

 

あぁ、何でも言ってくれ。

 

どんなことでも言う事を聞くよ。 


 

 

夫は身構える。

 

ビクビクしながら、静かに私の言葉を待っている。

 

 

 

これから毎週土曜の夜は、
必ず私とセックスしてください!


 

(完)

 

<<第7話へ            

 

 

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