第7回 離婚相談
別居中に他の異性と不倫・交際しても慰謝料取られない!?

 

離婚カウンセラーの
ミライです。


 

不倫発覚がきっかけで別居となるパターンは多いです。

 

しかし、中には、別居後に異性と出会って、男女関係や交際がスタートするというケースもあります。

 

今回の相談者は、妻と完全別居中に交際相手ができてしまった男性です。

 

あなたの悩みはどれですか?

弁護士に離婚の悩みを聞いて欲しい人
離婚時にお金をできるだけ多く欲しい人
 

家を売るか悩んでいる人
家を早く高く売りたい人
 

離婚後、再婚できるか悩んでいる人
 

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≪相談の背景≫
妻と完全別居中に後輩女性と交際開始した…

背景を飛ばして相談内容を見る>>

家族構成

イラスト_男性40代

 

(相談者)
夫A氏(40代)
会社員

 

 

イラスト_女性30代

 

※別居中
妻Bさん(30代)
派遣社員

 

子どもは無し。

 


「もう半年か…」

 

 

俺は、東京都内のワンルームマンションで一人暮らしをしている。
新宿からほど近い、18平方mの1LDKの部屋だ。

 

 

ただ、独身ではない。
戸籍上は既婚者で、妻がいる。

 

 

だが、妻とは一緒に住んでいない。
半年前に、話し合いの末、別居することになったのだ。

 

 

なぜ、別居することになったのか。
原因は、不倫でも暴力でもモラハラでもない。

 

 

お互いの心のすれ違いが大きくなりすぎたのだ。

 

男性031_悩む3

 

妻とは5年前に入籍した。

 

 

入籍してからは、毎日妻の作る夕食が楽しみだった。
仕事を早く切り上げて、走って帰る毎日だった。

 

 

給料も高くなく、狭い部屋に2人暮らし。
だが、毎日でいっぱいだった。

 

 

だが、入籍して2年が経ったとき転機が訪れた。
ライバル他社へ移った先輩から、転職の誘いを受けたのだ。

 

 

金銭面は、その時の年収の1.5倍を提示された。
俺は、こんなチャンスは人生でもう無いと思った。
すぐに、転職の話に乗った。

 

 

転職後は、同世代でもかなり高い年収となった。
その代わり、毎日終電まで働く様になった。

 

 

ちょうどその頃からだ。
夫婦の会話が無くなったのは。

 

 

俺の帰宅は、毎日夜中の1時。
朝は、6時台に起きて、7時には家を出る。
毎日、4時間睡眠だ。

 

 

土日も、ほぼ会社に呼び出された。
完全に休日になるのは、月に1〜2度ほど。

 

 

妻との会話は、どんどん減っていった。
妻と一緒に夕食を食べる機会はほぼ無くなった。
1週間で1〜2回メールとラインだけのやり取りする関係だった。
当然、夫婦の夜の営みなどなくなり、完全なセックスレス状態。

 

 

だが俺は、
仕事で忙しいからと仕方ないと思っていた。

 

 

顔を合わせない時間が多くなってしまい、
いつしか心の距離も大きくなっていた。

 

男性031_悩む2

 

ある日の夜、仕事から帰ってきたら深夜にも関わらず妻は起きていた。
久しぶりに見た妻の顔は、とても疲れた表情をしていた。

 

 

妻は、『待っていた』と言った。

 

俺は、『おかえり』と返した。

 

だが、妻が言ったのは、”俺が妻との時間を作るのを『待っていた』”という意味だった。

 

 

最後に妻は深呼吸して、『別居したい』とつぶやいた。

 

 

妻から『別居したい』と言われたときは、正直驚いた。
まさか、妻が別居を考えているなんて思っても無かった。

 

 

俺は、必死で妻に思い留まるように説得した。
何度も何度も必死に謝った。

 

 

だが、もう既に遅かった。
妻の気持ちは、ここには無かった。

 

 

俺は、妻の気持ちにまったく気づかなかった。
夫婦なのに会話が無くなっていたことで、妻の心が離れてしまっていたなんて。

 

 

3日後、妻は荷物をまとめて出ていった。
妻は、俺の顔を見ようともせず、去っていった。

 

 

去り際、『離婚を考えといてね』というセリフを残していった。

 

男性031_悩む4

 

妻と別居して半年になろうとしていた頃だ。

 

 

別居した当初は少しは連絡を取り合っていた。
しかし、ここ約3ヶ月は音沙汰無しの状態だ。

 

 

別居してからも、俺は元に戻りたいと思っていた。
だが、今の俺には妻の事を気にしている余裕は無かった。
相変わらず仕事で多忙を極めていた。

 

 

仕事では、大きなプロジェクトが峠に差し掛かっていた。
会社に泊まり込んで働く日もできた。

 

 

この頃、俺は会社の後輩女性のCさんと仕事でペアを組んでいた。
Cさんは、今風のキレイ目な女性。

 

 

26歳と若いが、非常に理解が早くて賢い女性だ。
少し性格がキツいが、無駄なことを一切しないデキル女性。

 

 

最初は、頭が良い子だなとしか思ってなかった。
だが、一緒に遅くまで働いていると、次第に連帯感ができていった。
そして、次第に異性として意識するようになった。

 

 

そして、プロジェクトが無事完了して2人で乾杯をした日、初めて男女としての一線を越えた。

 

 

後ろめたさはあった。

 

 

俺には妻がいる。
別居しているとは言え既婚者だ。

 

 

だが、もう半年間別居状態の妻より、一日の大半を共に過ごす女性と仲良くなるのは自然の流れだ。人間、身近な存在であるほど、心の距離は近くなるものだ。

 

 

後輩Cさんは、俺に妻がいるのを知っている。
完全別居であることも、そして妻が離婚を望んでいることも伝えてあった。

 

 

だが、それでもお互い惹かれ合っていた。
いつしか、俺は後輩Cさんと恋人同然の付き合いを始めた。

 

 

俺は、
背徳感がありながらも、
仕事とCさんに夢中になっていた。

 

男性031_悩む2

 

ある日、郵便ポストに見慣れない封筒が届いていた。
疑問に思いながらも封を開けた俺は、驚きの声が出てしまった。

 

 

送り主は、〇〇法律事務所。
なんと、妻が弁護士に依頼していたのだ。
そして、不倫慰謝料500万円と離婚を請求すると書いてあった!?

 

 

えっ!?
なんで、俺がCさんと交際状態だと知っているのだ!?

 

 

封筒の中には、いくつかの写真も入っていた。
その写真には、俺が後輩Cさんと一緒に、俺の家に入っていく姿が写っていたのだ。
ご丁寧にも夜に自宅に入って、朝に一緒に家を出るところまで撮影されている。
そして、俺がいつどこに行っていたかを、報告書としてまとめられていた。

 

 

なんだこれは!?
こんな写真が撮られているなんて!
不倫の証拠ということか!?

 

 

俺は、頭が真っ白になった。
妻が探偵(興信所)を使って俺の素行調査をしていたのだ。
後輩Cさんを何度も家に連れて入る姿を、撮影していたのだ。

 

 

妻は、探偵に依頼していたなんて!?
しかも、これだけ明確な写真があれば、言い逃れできないな。

 

 

完全に弱みを握られた!
心が弱ってスキを見せてしまった。

 

 

もしかしたら後輩Cさんの元にも送られているかも。
だが、俺も後輩Cさんも500万円なんて大金すぎて払えない。

 

 

俺は、妻と完全別居とはいえ既婚者だ。
つまり、後輩Cさんとは厳しく言えば不倫状態だ。
不倫がバレたら慰謝料は当然だ。
しかも、今回の様に何枚も写真を撮られていたら、言い逃れできない。

 

 

しかし、もう妻とは半年間も完全別居だ。
直近3ヶ月は一切連絡を取ってないのだぞ。

 

 

それでも慰謝料を払わないといけないのか!?
俺は、いったいどうなってしまうんだ!?

男性031_悩む4

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≪離婚相談の内容≫
別居中に不倫しても慰謝料は取られない

背景の要約

相談者夫A氏は、妻Bさんと完全別居して半年が経つ。
その間、仕事のパートナーである後輩Cさんと交際をスタートさせた。
夫A氏の不倫を知った妻Bさんは、夫A氏に不倫慰謝料を請求した。

<<戻って相談の背景を見る

 

 

 

 

 

妻が久しぶりに連絡をよこしたらと思ったら、『不倫してるよね!?慰謝料請求します』だと。ホント勘弁してほしいですよ。

 

ただでさえ別居中で疲弊しているのに、慰謝料請求だなんて…。
もう人生散々な状態です。


 

 

奥さま側の弁護士から通知書が来るまでは、離婚や復縁の話し合いはしていなかったのですか?


 

 

 

 

 

妻は、家を出ていく際に「離婚を考えといて」と言っていましたが、別居開始してから離婚や復縁の話は一切していなかったです。

 

そもそも、別居してから妻とはほぼ連絡取っていません。
別居直後に所有物の確認などで連絡があったくらいです。

 

つまり、夫婦関係は完全に破綻状態と言えるのです。


 

 

現在、後輩女性のCさんと交際しているそうですが、奥さまとの同居中から、後輩Cさんとは男女の関係でしたか?


 

 

 

 

 

いえ、後輩Cさんと仲良くなったのは、私が別居してからです。ちょうど妻と別居開始後に私と後輩Cがプロジェクトメンバーに選ばれて、仕事でやり取りするようになったのです。

 

妻が同居中の時は、後輩Cとは同じ会社ですが話したことすらありませんでした。したがって、妻と同居していた間は不倫などありえないです。


 

 

奥さまとの完全別居中に後輩Cさんと仲良くなり、交際に発展したというわけですね。


 

 

 

 

 

はい。
間違いなく、その順番で合っています。

 

ただ、交際後は後輩Cさんを何度も自宅に呼んでいました。
ただ、まさか妻が探偵を雇ったりして写真を撮っていたなんて思いもよりませんでした。


 

 

別居した相手を探偵に見張らせるのは、常套手段です。
そこで妻以外の女性との関係をあぶり出して、慰謝料請求するという人は多いです。


 

 

 

 

 

ただ、私としては納得がいきません。

 

夫婦円満な状態ならともかく、妻とは完全別居中です。
妻との夫婦生活は、完全に破綻しているのです。

 

そんな様な状態でも、不倫の慰謝料を支払わなければならないのですか!?


 

 

結論から申し上げますと、Aさんは慰謝料請求を払わなくて済む可能性が高いです。

 

似た状況での過去の判例を紹介します。


判例の紹介

判例@

最高裁判所

平成8年3月26日

最高裁判所民事判例集50巻4号993項

夫と妻は1967年に入籍し、子どもを2人授かった。
だが、お互いの性格の不一致や金銭感覚などの相違などで次第に夫婦関係は悪化していった。

 

そして1984年、夫がZ株式会社の代表取締役に就任するに当たり、Z社の債務に自宅を抵当権に設定したことに妻が腹を立て、非難したり財産分与せよと要求した。また、夫の帰宅時に包丁をちらつかせるなど、夫婦関係はさらに悪化した。

 

1986年、夫は妻と別居する目的で調停を申し立てが、妻は夫には他に女がいると考え、Z社に関係がある女性に電話するなどの行動をとった。

 

1987年、夫は別居用のマンションを購入して、5月には妻と別居を開始した。その直前の4月に、夫はスナックで働いていたホステスCさんと知り合った。
夫はCさんに対して、『妻とは別居していて離婚することになっている』と言い、夏頃にはCさんと性交した。
そして、10月には同棲を開始し、その後、Cさんとの間に子どもを設け夫は認知した。

 

それを知った妻はCさんに対して、不貞行為で慰謝料を請求した。

 

最高裁判所は、
・夫とCさんが肉体関係を持ったが、夫と妻の夫婦関係が破たんしていた場合、Cさんは妻に対して不法行為の責任は負わないと解釈するのが妥当。
・Cさんが夫と肉体関係を持つことが不法行為となるのは、不貞行為が妻の婚姻生活の平和の維持を侵害する場合。
・夫と妻の婚姻関係が既に破たんしていた場合には、妻に婚姻生活の平和の維持があるとは言えない。
として、妻から不倫相手Cさんへの慰謝料を認めませんでした。

 
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今後について

 

一般的に不倫と言えば、婚姻関係にある者が配偶者以外と性交渉(セックス)をすることです。しかし、世間が考える不倫と、裁判所の考える不倫(不貞行為)は、厳密には異なります。

 

不倫が発覚して離婚成立や慰謝料が認められるのは、『不倫が夫婦関係の破たんの原因となった場合』に限られます。不倫という行為によって、(不倫していない側の)配偶者の平和な結婚生活が侵害されたと認められると、精神的な損害賠償が認められるのです。


 

 

なるほど。


 

 

一方、完全別居状態の場合や離婚調停をしている場合では、既に夫婦関係が破たんしていると言えます。その場合は、配偶者以外の異性と交際しても肉体関係を持っても、平和な結婚生活を侵害していません。

 

そのため、完全別居中に始まった不倫関係は、慰謝料が認められたり離婚原因の有責者となることはないのです。


 

 

 

 

 

私が後輩Cさんと交際を開始したのは妻との別居後です。それは、メールのやり取りからも明確です。したがって、私の場合だと不倫慰謝料は認められないということですね。

 

これからは、後輩Cさんと堂々と交際しても良いということですね。


 

 

別居開始後にスタートした交際や不倫関係が慰謝料の対象にならないとしても、できるだけ表だった交際はやめておいた方が無難です。


 

 

なぜですか!?


 

 

おそらく、奥さま側弁護士は『別居後の不倫発覚で慰謝料請求は難しい』とまでは気付いているでしょう。しかしそれでもこれを送ってきたのは、今後の調停や裁判においてAさんの印象を悪くしようとする作戦なのかもしれません。

 

また、Aさんが後輩Cさんと堂々と交際しにくくすることで、Aさんが『妻とさっさと離婚したい』と思うように仕向けているのかもしれません。そうする事で、奥さまにとって少しでも有利な条件(財産分与や養育費)を引き出そうとしているのでしょう。


 

 

 

 

 

えぇ!?
妻はそんな事まで考えているのですか!?

 

けど、私の知っている妻はそんな考えをする女性ではないです。
妻が果たしてそこまで考えているのでしょうか?


 

 

Aさん。
その考えは甘いです!


 

 

!!!


 

 

Aさん。
奥さまは弁護士に依頼したのですよね。
弁護士に依頼するということは、奥さまは完全に離婚を覚悟した、ということです。

 

そして、依頼を受けた弁護士が手加減などするわけがありません。
徹底的に攻めてきます。

 

Aさんは、もはや覚悟を持って戦うすべきなのです!


 

 

 

 

 

ミライさんの話を聞いて、今の自分の状況が理解できました。
もう、戦いは始まっているのですね。

 

そう考えると、後輩と交際している場合ではないのですね。

 

まずは、妻ときっちり話を付けたいと思います。
大変参考になりました。


 

 

頑張って下さい!
応援しています!


 

まとめ

夫婦関係が完全に破たんしている場合、他の女性と肉体関係を持ったり交際をしても慰謝料は取られない!

 

不倫で離婚と慰謝料が認められるための条件
  1. 不倫相手と複数回肉体関係を持った(セックスした)
  2. 不倫が原因となって夫婦関係が破綻した
不倫相手への慰謝料請求が認められる条件
  1. 複数回肉体関係を持った(セックスした)
  2. 不倫が原因で夫婦関係が破綻した
  3. 不倫相手が夫(妻)を既婚だと知っていた

 

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