妻との別居中に他の女性と交際を始めた…

家族構成

イラスト_男性40代

 

(相談者)
夫A氏(30代)
会社員

 

 

イラスト_女性30代

 

※別居中
妻Bさん(30代)
派遣社員

 

子どもは無し。

 


「もう半年か…」

 

 

俺は、東京都内のワンルームマンションで一人暮らしをしている。
新宿からほど近い、22平方mの1LDKの部屋だ。

 

 

ただ、独身ではない。
戸籍上は、妻がいる既婚者だ。

 

 

だが、妻とは一緒に住んでいない。
半年前に、話し合いの末、別居することにしたのだ。

 

 

なぜ、別居することになったのか。
原因は、不倫でも暴力でもモラハラでもない。
お互いの心のすれ違いが大きくなりすぎたのだ。

 

 

 

妻とは5年前に入籍した。

 

 

入籍してからは、毎日妻の作る夕食が楽しみだった。
仕事を早く切り上げて、走って帰る毎日だった。

 

 

その時は、毎日が幸せそのものだった。

 

 

だが、入籍して2年が経ったとき転機が訪れた。
ライバル他社へ移った先輩に、転職の誘いを受けたのだ。

 

 

金銭面は、その時の年収の1.5倍を提示された。
同世代でもかなり高い年収となる。
ただし、毎日終電まで働く様だった。

 

 

俺は、こんなチャンスは人生でもう無いと思った。
すぐに、転職の話に乗った。

 

 

それからだ。
夫婦の会話が無くなったのは。

 

 

俺の帰宅は、毎日夜中の1時。
朝は、6時台に起きて、7時には家を出る。
毎日、4時間睡眠だ。

 

 

土日も、ほぼ会社に呼び出された。
完全に休日になるのは、月に1〜2度ほど。

 

 

妻との会話は、見るからに減っていった。
妻と一緒に夕食を食べる機会はほぼ無くなった。
いつしか、一週間でメールとラインだけのやり取りの週もあった。

 

 

顔を合わせない時間が多くなってしまい、
いつしか心の距離も大きくなっていた。

 

 

だが、
この時俺は、
仕事で忙しいからと仕方ないと思っていた。

 

 

それだけに、妻から『別居したい』と言われたときは、正直驚いた。
まさか、妻が別居を考えているなんて思っても無かった。

 

 

俺は、必死で妻に、思い留まるように説得した。
何度も何度も必死に謝った。

 

 

だが、もう既に遅かった。
妻の気持ちは、ここには無かったのだ。

 

 

俺は、妻の気持ちにまったく気づかなかった。
夫婦なのに会話が無くなっていたことで、
妻の心が離れてしまっていたなんて。

 

 

1ヶ月後、妻との2人暮らしの部屋を引き払った。
妻は、俺の顔を見ようともせず、去っていった。

 

 

ただ去り際、『離婚を考えといてね』というセリフを残していった。

 

 

 

妻と別居して半年になろうとしていた頃だ。

 

 

別居した当初は少しは連絡を取り合っていた。
しかし、ここ約3ヶ月は音沙汰無しの状態だ。

 

 

別居してからも、俺は元に戻りたいと思っていた。
だが、今の俺には妻の事を気にしている余裕は無かった。
相変わらず仕事で多忙を極めていた。

 

 

大きなプロジェクトが峠に差し掛かっていた。
会社に泊まり込んで働く日もできた。

 

 

この頃、俺は会社の後輩女性のCさんと仕事でペアを組んでいた。
Cさんは、今風のキレイ目な女性。

 

3年目の25歳だが、非常に理解が早くて賢い女性だ。
少し性格がキツいが、無駄なことを一切しないデキル女性。

 

 

最初は、頭が良い子だなとしか思ってなかった。
だが、一緒に遅くまで働いていると、次第に連帯感ができていった。
そして、次第に異性として意識するようになった。

 

 

そして、プロジェクトが無事完了して2人で乾杯をした日、俺たちは始めて一線を越えた。

 

 

後ろめたさはあった。
俺には妻がいる。
別居しているとは言え既婚者だ。

 

 

だが、もう半年も音信不通の妻より、一日の大半を共に過ごす女性と仲良くなるのは自然の流れだ。人間、身近な存在であるほど、心の距離は近くなるものだ。

 

 

一線を越えてからも、後輩Cさんは俺の心を独占していた。
それから、俺は後輩Cさんと恋人同然の付き合いを始めた。

 

 

当然、後輩Cさんは、俺に妻がいるのを知っている。
だが、完全別居であることも、そして妻が離婚を望んでいることも伝えてあった。

 

 

俺は、背徳感がありながらも、仕事と後輩Cさんに夢中になっていた。

 

 

 

ある日、郵便ポストに見慣れない封筒が届いていた。
疑問に思いながらも封を開けた俺は、驚きの声を出さざるを得なかった。

 

 

封筒の中からは、妻が〇〇法律事務所に依頼していたと書いてあった。
そして、不倫による慰謝料500万円を請求すると書いてあった!?

 

 

えっ!?
なんて、俺がCさんと交際状態だと知っているんだ!?

 

 

封筒の中には、いくつかの写真も入っていた。
その写真には、俺が後輩Cさんと一緒に、俺の家に入っていく姿が写っていたのだ。

 

 

しかも、手を繋いでいるところだ。
さらに、ご丁寧にも夜に自宅に入って、朝に一緒に家を出るところまで撮影されている。

 

 

なんだこれは!?
こんな写真が撮られているなんて!
不倫の証拠ということか!?

 

 

俺は、頭が真っ白になった。
妻が興信所(探偵)を使って俺の素行調査をしていたのだ。
そして、後輩Cさんを何度も家に連れて入る姿を、撮影していたのだ。

 

 

妻は、探偵に依頼していたなんて!?
しかも、これだけ明確な写真があれば、言い逃れできないな。

 

 

完全に弱みを握られた!
心が弱ってスキを見せてしまった。

 

 

もしかしたら後輩Cさんの元にも送られているかも。
だが、俺も後輩Cさんも500万円なんて大金すぎて払えない。

 

 

俺は、妻と完全別居とはいえ既婚者だ。
つまり、後輩Cさんとは厳しく言えば不倫状態だ。
不倫がバレたら慰謝料は当然だ。
しかも、今回の様に何枚も写真を撮られていたら、言い逃れできない。

 

 

しかし、もう妻とは半年間も完全別居だ。
そのうち、直近3ヶ月は一切連絡を取ってないのだぞ。

 

 

それでも慰謝料を払わないといけないのか!?
なんとか、ならないのだろうか?

 

 

俺は悩んだあげく、弁護士に相談に行くことにした。

この事例の争点

夫A氏は、妻と別居状態です。
しかも、修復を前提とした別居ではありません。

 

 

別居開始時に、妻は夫に「離婚を考えといて」と言ってます。
また、直近3ヶ月は全く連絡も取り合っていません。

 

 

つまり、夫婦関係は完全に破綻状態と言えるのです。

 

 

その状態で、夫A氏は会社の後輩Cさんと交際同然の状態となってしまいました。
肉体関係はもちろんですが、交際同然なのでなんども自宅に呼んでいました。

 

 

そして、その姿は依頼した探偵が完全な証拠となる写真に収めていました。

 

 

ただ、夫A氏としては納得がいきません。

 

 

夫婦円満な状態ならともかく、離婚を前提とした別居生活中です。
妻との夫婦生活は完全に破綻しているのです。

 

 

その様な状態でも、戸籍上は既婚者ということで不倫の慰謝料を支払わなければならないのか。

 

では、この事例に似た過去の判例を紹介します。

 

判例の紹介

判例@

最高裁判所

平成8年3月26日

最高裁判所民事判例集50巻4号993項

夫と妻は1967年に入籍し、子どもを2人授かった。
だが、お互いの性格の不一致や金銭感覚などの相違などで次第に夫婦関係は悪化していった。

 

そして1984年、夫がZ株式会社の代表取締役に就任するに当たり、Z社の債務に自宅を抵当権に設定したことに妻が腹を立て、非難したり財産分与せよと要求した。また、夫の帰宅時に包丁をちらつかせるなど、夫婦関係はさらに悪化した。

 

1986年、夫は妻と別居する目的で調停を申し立てが、妻は夫には他に女がいると考え、Z社に関係がある女性に電話するなどの行動をとった。

 

1987年、夫は別居用のマンションを購入して、5月には妻と別居を開始した。その直前の4月に、夫はスナックで働いていたホステスCさんと知り合った。
夫はCさんに対して、『妻とは別居していて離婚することになっている』と言い、夏頃にはCさんと性交した。
そして、10月には同棲を開始し、その後、Cさんとの間に子どもを設け夫は認知した。

 

それを知った妻はCさんに対して、不貞行為で慰謝料を請求した。

 

最高裁判所は、
・夫とCさんが肉体関係を持ったが、夫と妻の夫婦関係が破たんしていた場合、Cさんは妻に対して不法行為の責任は負わないと解釈するのが妥当。
・Cさんが夫と肉体関係を持つことが不法行為となるのは、不貞行為が妻の婚姻生活の平和の維持を侵害する場合。
・夫と妻の婚姻関係が既に破たんしていた場合には、妻に婚姻生活の平和の維持があるとは言えない。
として、妻から不倫相手Cさんへの慰謝料を認めませんでした。

 

結論

一般的に、不倫と言えば、婚姻関係にある者が配偶者以外と性交渉(セックス)をすることです。しかし、離婚原因や慰謝料の議論において、世間が考える不倫と、裁判所の考える不倫(不貞行為)は厳密には異なります。

 

 

上記の最高裁判所の判例のとおり、不倫で離婚原因や慰謝料が認められるのは、『不倫が夫婦関係の破たんの原因となる場合』なのです。不倫という行為によって、(不倫していない)配偶者の平和な結婚生活が侵害したと見なされ、精神的な損害賠償が認められるのです。

 

 

したがって、既に完全別居や離婚調停で夫婦関係が破たんしている場合は、配偶者以外の異性と交際しても肉体関係を持っても、平和な結婚生活を侵害していません。そのため、完全別居中の不倫では、慰謝料が認められたり離婚原因の有責者となることはないのです。

 

 

ただし、別居開始直後や復縁の話をしている状態での不倫は、まだ夫婦関係は破たんしていないと判断されれ慰謝料が認められるかもしれないので注意が必要です。

 

 

最後に、不倫(不貞行為)で離婚や慰謝料が認めらる条件をまとめておきます。

 

不倫で離婚と慰謝料が認められるための条件
  1. 不倫相手と複数回肉体関係を持った(セックスした)
  2. 不倫が原因となって夫婦関係が破綻した

 

不倫相手への慰謝料請求が認められる条件
  1. 複数回肉体関係を持った(セックスした)
  2. 不倫が原因で夫婦関係が破綻した
  3. 不倫相手が夫(妻)を既婚だと知っていた

 

まとめ

夫婦関係が完全に破たんしている場合、他の女性と肉体関係を持ったり交際をしても慰謝料は取られない!

 

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