第12回 離婚相談
滞納中の婚姻費用はいつ支払ってもらえるの?

 

離婚カウンセラーの
ミライです。


 

別居すると、妻は夫に婚姻費用を請求するのが一般的です。
妻にとっては、別居中の重要な生活費となります。

 

一方、夫にとっては、婚姻費用の支払いは金銭的に大きな負担となります。
毎月の支払い耐えられず、支払いをストップしてしまう男性もいます。

 

今回の相談者は、夫が婚姻費用を滞納して悩んでいる奥さまです。

 

あなたの悩みはどれですか?

弁護士に離婚の悩みを聞いて欲しい人
離婚時にお金をできるだけ多く欲しい人
 

家を売るか悩んでいる人
家を早く高く売りたい人
 

離婚後、再婚できるか悩んでいる人
 

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≪相談の背景≫
夫が婚姻費用を滞納している…

背景を飛ばして相談内容を見る>>

家族構成

イラスト_男性40代

 

 

夫A氏(40代)
自営業

 

 

イラスト_女性40代

 

(相談者)※別居中
妻Bさん(40代)
派遣社員

 

イラスト_成人男性

 

24歳(長男)
社会人

 

よかった。
やっと、夫と離婚できそうだ。

 

 

夫とは長年別居状態だった。
その夫とも、もうすぐ離婚できそうなのだ。

 

 

だが、私には一つの悩みがある。
それは、夫が滞納し続けている婚姻費用だ。
この6年間で、結局一度も支払われることはなかった。

 

 

6年間の滞納額はとても大きい。
100万円以上だ。
とても諦められる銀額ではない。

 

 

そもそも、なぜ別居状態になったのか。
それは、6年前に遡る…。

 

女性モデル06_悩み1

 

6年前の夜。

 

 

夫が風呂に入っている時、リビングに置きっぱなしの夫の携帯が光った。
どうやら、誰かからメールが届いた様だ。
私は、どうしても気になって夫のメールを見てしまった。

 

 

だが、それは見てはいけないメールだった。

 

 

夫は、ある女性と頻繁にやり取りをしていた。
しかも、連絡や相談といった類のものではない。
完全に、大人の男女のやり取りだった。

 

 

携帯のメールを見ると、夫はその女性と頻繁に会っていることが分かった。

 

 

週に3回は、仕事後に不倫相手のマンションに寄っていた。
食事を共にしていた後、そのまま終電まで過ごしていた。
そして、たまに出張と嘘をついて、女性と旅行に行っていた…。

 

 

携帯を持つ私の手が震えた。
いつの間にか、体も震えていた。

 

 

夫と不倫相手とのやり取りを一通り見ていると、夫が風呂から出てきた。

 

 

私は、夫を睨みつけた!
そして、勢いで問い詰めた。

 

 


「あなた!どういうつもり!?
なんで不倫なんてしているの!?」

 

 

夫は、一瞬驚いた表情を見せた。
だが、すぐに反論することなく、部屋をゆっくりと見渡した。

 

 

そして次の瞬間、
夫は冷たい目でつぶやいた。

 

 


「勝手に携帯を見るなんて最低な女だな!
だが、証拠はどこにある?」

 

 


「あなたの携帯のメールに全て書いてあるじゃない!?」

 

 

私は、夫の携帯を投げつける。
夫は携帯をタオルで受け止めて、メールボックスを確認した。

 

 

そして、無表情で妻に言い返した。

 

 


「俺はそんなメールなどしたことない。
俺は絶対に不倫など認めない」

 

 


「嘘つくな!
いまこの目で携帯を…」

 

 

私は、ハッとした。

 

 

私は、夫の携帯を見て不倫のやり取りは知った。
だが、それをどこにも記録していなかった。

 

 

私の携帯は、台所の食器の横に置いてあるのでやり取りを撮影もしていない。
夫と不倫相手とのやり取りを、自分の携帯に転送もしていない。

 

 

何一つ、手元に証拠を確保していない。

 

 

夫は、風呂から出てきた直後、部屋を見渡していた。
夫は、記録ができそうな物(妻の携帯など)の場所を確認していたのだ。
そして、私の手元には機械類が無いので、私がメールを撮影していないと考えた。

 

 

また夫は、私が投げつけた携帯を受け止めて、真っ先にメールボックスを見た。
そして、メールはどこにも転送されていないのを確認して安心した。

 

 

一連の流れで、夫は確信したのだろう。
私にメールを見られたものの、私の手元には証拠が無い。
だから、どんなに私が叫んでも、堂々と否定してきたのだ。

 

 

夫はとても頭が良い。
その頭を必死に回転させて、対応してきたのだ。

 

 

それから、私と夫は激しい口論となった。

 

 

私たちは、1年に何度かは喧嘩をしていた。
だが、この日の口論は今までの比ではなかった。

 

 

いつしか、激しい非難合戦となった。

 

 

私は、夫の不倫とお金のケチさを非難した。
夫は、私の家事の手抜きを非難した。

 

 

口論は3時間に及んだ。
この時、お互いに相手を心の底から憎ましいと思った。

 

女性モデル06_悩み5

 

次の日から、夫との別居生活が始まった。
夫が、引っ越し業者を呼んで、荷物と共に家を出ていったのだ。
私と一人息子は、家に残された。

 

 

夫は、どこに行くかは言ってなかった。
だが、たまに息子とは連絡を取っているみたいだった。

 

 

息子が言うには、自営業の職場で生活しているらしい。
夫の会社は小規模だが、社長なので一部屋を住居スペースにするなど容易だ。

 

 

夫が職場で生活しようが、どこで何をしているか全く気にならない。
私にとって、もはや夫はどうでもよくなっていた。

 

 

夫が出ていって1か月程たったころ、私は生活への不安に直面していた。

 

 

あいにく、夫と住んでいた家はローンは無いので家賃はかからない。
両家の両親が、相続の意味も込めて買い与えてくれた家なのだ。

 

 

だが、派遣社員である私だけの給料では生活が大変だ。
しかも、来年からは息子が大学に行くかもしれない。
今より余計にお金がかかる。

 

 

困り果てた私は、弁護士に相談しに行った。
私が状況を説明すると、弁護士は夫へ婚姻費用を請求することを勧めた。

 

 

別居していても婚姻関係にある限り、年収の高い側(主に男性)は低い側(妻)に生活費を支払わなければならないのだ。それを婚姻費用制度と言い、女性が別居した際に生活の重要な経済的基盤だ。

 

 

婚姻費用。
またの名をコンピ。
こんな制度があるなんて!

 

 

私は、婚姻費用がいくらになりそうか調べた。

 

 

婚姻費用は、算定表から簡単に算出できる。
夫婦双方の前年度の年収と、子どもの数・年齢を基にして計算する。

 

婚姻費用の条件

夫の前年度の年収は、自営業で700万円。
私(妻)の前年度の年収は、派遣社員で250万円。
子どもは、17歳の息子が1人。

 

算定表を使うと、婚姻費用と養育費はすぐに算出できた。
婚姻費用は、毎月10〜12万円。

 

 

さっそく、夫に婚姻費用を請求しよう。
金額は、間をとって11万円を請求しよう。

 

 

しかし、夫からは返事はない。
夫の携帯やメールに何度を連絡しても、返信は無い。

 

 

もし夫が会社員だったら、給料を差し押さえることができた。
しかし、自営業なので差し押さえは難しい。

 

 

結局、私の派遣社員の給料で生活するしかなかった。

 

 

 

別居開始から、6年が経とうとしていた。

 

 

息子は無事大学を卒業した。
私は、とても晴れやかな気持ちだった。

 

 

息子は、ついに社会人となった。
私も、そろそろ夫との籍を抜いて、きれいに一人になろう。

 

 

だが、そもそも6年間も夫は婚姻費用を支払っていない。
6年×12か月×11万円=計792万円。

 

 

おそろしい金額だ。
夫は、これを支払わずに逃げるのか。

 

 

だが、長年に渡って支払わなかった婚姻費用の滞納は、後から支払わせることはできるのか。
かといって、老後の安定した生活を考えると、簡単に諦めるわけにいかない。

 

 

婚姻費用を滞納して、逃げ切ろうとするなんて許せない。
800万円近い婚姻費用の滞納額をなんとしてでも夫に払わせたい!

女性モデル06_悩み2

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≪離婚相談の内容≫
婚姻費用の滞納額は財産分与で清算となる!

背景の要約

夫A氏の不倫発覚がきっかけで別居が始まった。
妻Bさんは夫に婚姻費用を請求するも、6年間一切払われなかった。
妻は、なんとしても夫に滞納総額800万円を払わせたいと思っている。

<<戻って相談の背景を見る

 

 

 

 

 

夫は、6年間も婚姻費用を滞納しています。
その金額は、なんと800万円にもなるのです。
私以外でも、婚姻費用を払ってもらってない人って多いですか?


 

 

夫婦は婚姻関係が続いている限り、収入の高い側(主に夫)は低い側(妻)に生活費として婚姻費用を支払わなければなりません。

 

しかし、世の中の全ての男性が素直に婚姻費用を支払うとは限りません。
実際、婚姻費用の滞納は、非常に多いです。

 

もちろん、事情があって支払うことができない人もいるでしょう。
しかし、最初から支払いを拒んだり、途中で支払いをストップさせてしまう人もいるでしょう。


 

 

 

 

 

夫の場合は、ただ払いたくないということでしょう。
確か、夫がサラリーマンの場合だと、強制的に払わすことができるのですよね?


 

 

はい。
旦那さまがサラリーマンだと、会社からの給与を差し押さえて、そこから強制的に払わせることができます。

 

ただし、旦那さまが転職してしまったら、新たな職場を見つけ出さなければなりません。


 

 

 

 

 

私の夫は自営業なんです。
なので、夫の自発的な支払いに期待していましたが、1度も払いませんでした。

 

もしかしたら夫も婚姻費用の制度を調べて、『自営業だから強制的に取られないだろう』と考えての行動の様な気もします。


 

 

確かに、払えなくなって滞納する場合は、だいたい途中でストップします。

 

しかし、旦那さまの場合は、最初から払っていないので、最初から払う気が無い確信犯と言えますね。


 

 

 

 

 

夫の婚姻費用の滞納額は800万円ほどにもなります。
金額が非常に大きく、老後の生活を考えると、とても諦めることなどできません。なんとか取り返す方法はないでしょうか?


 

 

結論から言うと、旦那さまが滞納した婚姻費用は支払わせることは可能です。離婚時の財産分与の際に、一括で清算することができるのです。

 

似た状況での過去の判例を紹介します。


過去の判例

判例@

東京地方裁判所

平成9年6月24日

判例タイムズ962号224頁

入籍後25年間同居生活していたが、ある時から夫は妻に再三暴言を浴びせるようになった。その後、夫は妻に生活費10万円しか渡さなくなり、翌年には家庭内別居となった。

 

その後、妻と夫がお互いに離婚と財産分与を求めて提訴した。妻は、婚姻費用の不足分も求めていた。

 

東京地裁は、「婚姻関係が破たんした後においても、未払いの婚姻費用の請求権は認められる。離婚に際しての財産分与において、未払いの婚姻費用を考慮することは可能である」として、未払いの婚姻費用を財産分与と合わせて清算することとした。

判例A

東京家庭裁判所

昭和48年8月1日審判

家裁月報26巻4号62頁

夫(医師)が不倫相手と同棲を始めたことがきっかけで、それ以降、妻子とは16年間別居状態となった。その間、夫は子どもの学費以外の生活費を負担しなかった。

 

裁判所は、
・「夫は医師として標準的家庭以上の収入を得ていながら、別居期間中、妻子に要した婚姻費用につき我関せずの態度を取り続け、その分担義務を免れていた」
・「夫の資産は妻子の犠牲の下に形成されたと評されてもやむを得ない、(中略)、財産分与の手続きにおいてその清算を図るのが相当である
として、婚姻費用の滞納分は財産分与で清算することとした。

 
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今後について

 

 

 

 

なるほど。
滞納分の婚姻費用は、離婚時の財産分与で清算することができそうですね。
800万円、諦めずに済みそうで良かったです。


 

 

理想を言うなら、もっと早い段階で催促しておけば払っていたかもしれません。

 

婚姻費用を滞納があった場合、時間が経つにつれて婚姻費用の滞納額は増えていきます。
滞納額が低い傷が浅いうちに払わせないと、支払わせるのは難しくなりますね。


 

 

 

 

 

確かにそうですね!
『滞納した分は財産分与で清算となるから今払え』という旨を、伝えればよかったです。

 

ただ、財産分与は離婚時であり、それまで夫の財産が残っているとは限らないです。できるだけ早く払わせるには、どうすれば良いですかね?


 

 

いくつかあります。

 

例えば、『滞納は800万円あるが、1ヶ月以内に払うなら700万円で良い』という提示をするのです。旦那さまとしては、トータルで支払う金額が安くなるのでインセンティブがあるでしょう。

 

他には、財産があるうちに財産分与をするために離婚調停を起こしましょう。時間が経てば経つほど、財産を処分したり隠したりする時間を与えてしまいます。


 

 

 

 

 

なるほど。
参考になります。
どちらにせよ、早めに行動を起こした方が良いですね。


 

 

頑張って下さい!
応援しています!


 

まとめ

滞納した婚姻費用は、財産分与でまとめて清算できる!

 

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